羽ばたけなくて
「うん、大丈夫。何も予定ないよ。」

視線を戻し私は大志に向かって

オッケーサインを出した。

それを見た美園が満面の笑みを浮かべながら、

「決まり! じゃ、いつものところでね。」

と言った。

雅也は美園の言葉に軽く1度頷く。

大志は飛び跳ねながら

「ッシャー!」と叫んでいる。

彼はきっと毎日がお祭りでも平気なくらい

体力が有り余っているのだろう。

飛び跳ね方が豪快だ。

私もカバンから手帳を出し、今日の欄に書き込んだ。

『放課後いつものトコ』

私は放課後が来るのを心待ちにしていた。

だって―――

4人で過ごしている時間が家庭以外で唯一

“素の自分”になれる気がするから。

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