羽ばたけなくて
私の言葉に仁美はキッと睨みつけながら、

「その呼び方、やめて! 寒気がする。」

と言い軽く腕をさすった。

私は早くこの場から去ろうと

前を向きなおそうとした。

あの頃の記憶を呼び戻すなんて嫌だから。

なのに、彼らは私にそうさせようとはしなかった。

「バカ姉弟は、

 やっぱりいつまで経っても仲がいいんだな。」

古澤君の言葉に

私は鈍器で殴られたような衝撃を受ける。

私だけだったらまだしも、

ヨウの前では言われたくない。

ヨウの耳にそんな言葉を入れさせたくない。

なのに、古沢君達はなおも言葉を続けた。

< 97 / 401 >

この作品をシェア

pagetop