夏休み*とある姉弟のお話(話を追加更新中)
「そのピリピリしてるオーラうざい」
テレビから目を離さず言えば舌打ちが帰ってきた。
遥は姉ちゃんのことが好きなんだろうけど、本人はそれに気づいてなくて無意識的に行動してる感じだ。
だから姉ちゃんが“男”がいるクラス会に行ったのも訳が分からずイライラしてるんだろうな。
まぁ俺は恋愛とか興味ないから何も口出ししないけど。
「…あ、姉ちゃんからだ」
メッセージの通知が来て開くと、“奏多さん”と仲良さげにピースしてるツーショット写真。
奏多さんは姉ちゃんと同じクラスで、俺と姉ちゃんの幼馴染。
「…んだよこれ」
「あー…」
遥が見たら暴走しそうだから見せないようにしたが遅かった。
いつの間にか覗かれてた。
しかも奏多さんと姉ちゃんのツーショット写真を見た途端、黒いオーラが遥の周りに溢れる。
「ッチ、あのくそルリ…」
あぁー。
マジギレしてて姉ちゃんのこと、クソ呼ばわりしてんじゃんか…。
「この写真から場所は…二駅先の市民プール」
…怖すぎる。
ホラーとかは映像だから怖いとか思わないが、こういう周りのものを見て一瞬でそいつの居場所がわかるとか怖いだろ。
「…俺用事思い出したので帰ります」
さっきまで怒ってた人間が見惚れるような笑顔を浮かべた。
その瞬間鳥肌がブワァーっと立つ。
絶対良いこと考えてないだろ…。
だから、
「俺も行く」
コイツが暴走しないように見張らないとだな。
ホラー特集は録画してあるし帰ってから見るか。