夏休み*とある姉弟のお話(話を追加更新中)
「俺はもっとナイスバディのお姉さんと付き合うんだよ」
ニカッと爽やかな笑顔を浮かべながら、笑顔に似合わないセリフを吐いた。
「あたしだって、」
あたしだって奏多よりいい人見つけるんだ。と、言おうとすると、それは女子の黄色い悲鳴で掻き消された。
「なになに?」
「どうしたんだろー?」
あたしの近くにいた女子が何だろうと、その声の元へ目を向ける。
あたしは別に興味ないし、今はプールで遊ぶのが一番だ。
さっきの黄色い悲鳴に気を引かれた奏多の顔に仕返しとばかりに、ビーチボールを打つける。
「っルリ、お前っ!」
「奏多が先にぶつけてきたんだからね!」
笑いながら奏多から逃げればすぐに肩を掴まれ、
「っちょ、」
「うわっ」
後ろに倒れた。
バシャンっと音を立てて尻餅をついたあたしと奏多。
ここは10センチほど水が張ってある広場のようなところ。
そんなところで尻餅をついた。
でも、痛くない。
何故なら奏多があたしのお腹に腕を回して背中から抱きしめていたからだ。
「…ルリのせいでこうなったんだからな」
「奏多が先にやってきたのが悪いんだから!」
奏多の足の間にすっぽりと収まっている状態で奏多の方を向く。
「奏多のバーカ」
そう言って笑えば、奏多も吹き出して笑った。
ケラケラと奏多に抱きしめられたままの状態で笑っていれば、寒気を感じた。