友情のち恋、ときどき嵐。
「和陽~♡」
「・・・おはよ、友紀」
和陽がボー・・・っとしていると、友紀という女友達(?)が抱きついてきた。
今日は小学6年生の始業式。ここは靴箱。
和陽は宿題ぜんぜんやってね~と考えていたので、いつもより反応が遅れた。
「元気ないね~」
友紀の甘ったるい声が、耳のすぐ横で聞こえる。
・・・女の子だなぁ。
和陽も一応女なのに、自分のことを『女』と言い切る自信がない。
「そうそう♪今日、転入生が来るんだよ~☆」
やっと身体が解放されたかと思うと、友紀に手を強く握られて。
「・・・転入生が出て行くんだったら変だし」
和陽は、屁理屈を言ってしまった。
「変なツッコミみたいなこと言わないの♡」
「・・・ごめん友紀」
友紀の目が。目が、全く笑ってない。
・・・やっぱ女って怖い。
「・・・で、転入生って男?女?」
和陽は話をもとに戻して、この状況から免れようとした。
「えっとね~・・・『兼頭海』って書いてある」
「・・・ウミ?カイ?」
「・・・さぁ」
友紀にしては珍しく、そのことをわかっていないらしい。
「でも・・・たぶん女の子じゃない?」
「俺は男に100円」
「じゃあ、私は200円」
「じゃあ300円」
「400円」
競みたいになってきた。
結局、500円ということになった。
そろそろ教室に行かなければ遅刻になる、と和陽と友紀は教室へ向かった。