友情のち恋、ときどき嵐。
「あ~・・・・・」
和陽は、湯船の中で考え事をしていた。
心の声(和):湯船だぁ・・・久々だなぁ・・・・何年ぶりだろうなぁ・・・・・・劉は毎日入ってんだなぁ・・・・ってまるで自分が風呂に入ってないみたいではないか!?違うぞ!!湯船に入ってないだけ!!シャワーは毎日浴びてる!!頭も身体も洗ってる!!・・・・・・・なんか向こうからガチャガチャ聞こえるけど、何やってるんだろうなぁ・・・劉は・・・・?というかなぁ・・・・・・。
「あのオジサンわざわざ痕つけてるし・・・・」
首筋に残る痕を、軽くなぞる。
ガシャン!!
ガチャガチャだったのが、何かを落としたのかガシャン!になった。
「大丈夫~?」
「・・・そういうことはあまり声を出していわないでくれ」
劉の声が聞こえた。大丈夫らしい。
「了解~」
くすくすと笑いながら、和陽は湯船から出た。
そして、浴室からでようとし、あることに気付いた。
「劉~、タオルとかってどこにある~?」
「え~・・・・・ちょっと待ってろ」
劉の声が聞こえ、その後に2階へ駆け上がる音が聞こえた。
バタバタバタバタバタバタバタバタガチャザッバサッドカトタトタトタトタトタトタ・・・・・・・
「・・・どこに置いときゃいい?」
「いや、普通に渡してくれないかな?」
劉は困った。年頃の娘が年頃の男に何を言っているのだ、と。
「・・・・はい」
劉はドアをわずかに開け、そこから手とタオルだけを出している。
「ありがと」
和陽は、足元マットのところでできるだけ水分を飛ばしてから、タオルをもらいに行った。
「もうすぐメシできるから」
劉はそういうと、和陽のもとから遠ざかり、再びガチャガチャという音を発した。