友情のち恋、ときどき嵐。
――― 11:30 ごろ ―――
ガチャガチャガチャ・・・・
日頃劉は、食器洗いをしているとき、鼻歌を歌っている。
そうでもしなきゃ、やってられない。
でも。しかし。
今日は、和陽がいる。
「これをここに片付けて・・・他にすることはない?」
そして食器洗いを手伝っている。
本来、これは微笑ましく、嬉しいはずなのに。
・・・・どうしよう。
劉は、もうすぐ終わってしまう食器洗いを呪った。
心の声(劉):どうするんだよ、もうすぐ食器洗い終わるじゃねぇか!!和陽と一緒に布団で寝るなんて、冗談じゃねぇぞ!!さっき狼から助けたのに、自分が狼になりかねん!!
劉の気持ちなんか知らず、和陽はふぁ~・・・と欠伸をしていた。
「・・・・さき寝てても良いんだぞ?布団は用意してあるんだし」
「やだよ。そしたら劉はソファーで寝るじゃん」
「(読まれてたか・・・・)」
劉はここぞとばかりに言ったのに、バレてしまってましょうがない。
劉は、最後の食器を洗い終えた。
「・・・なんか飲むか?」
明らかに、時間稼ぎだ。
和陽には分かっていたが、なにか飲みたかったのも確かである。
「・・・ココア」
「了解」
和陽は、自分用マグカップと客用マグカップを棚の中から取り出し、牛乳を注いで、レンジに入れた。
「・・・・お前は、」
劉が、和陽に向かって言った。
「俺のこと、嫌いか・・・・・?」
その瞳の色が、やけに寂しく見えて、和陽は切なくなった。