友情のち恋、ときどき嵐。
「嫌い・・・じゃないよ?」
確かに、お向かいさん、同級生のクラスメイトというだけであまりかかわりはなかった。
しかし、嫌いになる理由はなにもない。
それに、今日は助けてさえもくれた。
「・・・むしろ、好き」
一緒にいたら、安心して。
でも、ドキドキして落ち着かない。
そう・・・・・えっと・・・・・・・。
「抱きしめたくなる・・・・・?」
「・・・・・お前は・・・」
劉は困った。
その理由は、さきに告白されてしまったからだ。
和陽が、台所に立つ劉に近づく。
劉は、固まったままでいた。
しかし、劉の眼からは涙がこぼれていた。
「Does not Ryu dislike me?(劉は、私を嫌ってない?)」
和陽の伸ばされた腕は、劉の背中に回された。
「I watch you. (私はあなたを見ています)I believe you. (私はあなたを信じています)You please believe me, too.(あなたも私を信じてください)Please show me your tears.(あなたの涙を、見せてください)」
劉は、震える腕で和陽を抱きしめた。
和陽と劉にある共通点。
英語だけは、ともにできるということ。
しかし、小学校のテストに英語はないので、無意味だ。
こういうときには、英語も役に立つものである。
二人だけの、温かな会話。
「・・・・・っ・・・・」
劉は、和陽の肩に顔をうずめて、声を上げて泣いた。
「Nobody loves me! (誰も俺を愛してくれない)Nobody watches me!(誰も俺を見てくれない)My parents do not watch my effort either.(俺の努力を、両親は見てくれない)I want to believe nothing!!!(俺は何も信じたくない)」
『I want to believe nothing 』。
つまりは、何かを信じたかった。
和陽には、それが痛いほど分かる。
同じような存在。 自分の分身のような存在。