友情のち恋、ときどき嵐。

パサッ・・・・


ロープが完全に外れ、

バコッ

和陽は海を一発殴った。

海の唇が少し切れた。


「う゛~・・・」

「『う゛~・・・』じゃない!!ド阿呆!!」


和陽は頬を真赤に染めて怒鳴った。


「熱があって、看病しようと思って、襲われかけて・・・」


和陽の目に涙が浮かぶ。語尾も弱っていた。


「・・・嫌なこと、思い出した」


昔、襲われたこと。あの時は、劉がいた。

劉が、助けてくれた。


「もう、劉が助けてくれることはないのに・・・」


とっさに思い出した、劉を愛しく思う。


「I wanted to stop living. (私は死にたかった)」


海を見て、涙が零れた。


「I wanted not to be born.(産まれたくなかった)」


こんなにも惨めになりたくなかった。

自分が、必要のない存在であることを理解したくなかった。

劉は、自分を認めてくれた。劉は、もういない。

誰にも必要とされていない自分は、もういらない。


「I cannot understand the meaning that I lived for.(私は、私が生きた意味が分からない)」


ここにいることさえ、嫌だった。


「和陽・・・」

「Do not touch me! !(触るな)」


海が手を伸ばしてくる。

自分に触れようとしてくる。



恐い。
< 32 / 34 >

この作品をシェア

pagetop