友情のち恋、ときどき嵐。
「入って入って~♪」
先生までハイテンションときた。
・・・・・どんな顔なんだろう。
和陽は机に前のめりに倒れていたが、そのときだけ顔を上げる。
入ってきたのは、少年という言葉がぴったり合うような少年だった。
端整な顔つきをしていて、身長は男子にしては少し低め。
女に間違えられることはないだろうが、可愛い。
「今日からこの学校に通うことになりました。兼頭海です。よろしくお願いします」
ボーイソプラノの透き通る声は、女子にも勝る美しさ。
ペコリ、と少し震えながら頭を下げるのは、これからの不安か。
そして名前は『カイ』らしい。
和陽は見入ってしまった。
女子は会話をやめて、食い入るように『兼頭海』を見ている。
・・・(女子が今まで以上に)怖い。
「え~っと、・・・海君、あの席に座って?」
「はい」
『兼頭海』が座る席は、運動場側の窓よりの、3列目。
・・・・・自分の斜め後ろ。
・・・・なんだよ、この微妙な距離。
和陽は、何かしらむかついて、また顔を机に伏せた。