Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜
するとマリナが走って来て楽しげに私に話しかけてきた。
「さっきの見た?以外とイケメンだったねー。」
「うん・・・・。」
マリナは「オオカミ族なのがちょっと惜しいかなぁ。」なんて言いながら苦笑いした。
マリナは知らない。
レンとはもう会ったことがあることも、私のせいでレンをこんな目に合わせてしまったことも・・・知らない。
「あ、知ってた?あの人、来週死刑になっちゃうんだって。」
死刑!?
「そんな・・・。レンは何もしてないのにっ!全て私のせいなのに!!」
私はついマリナに大声を出してしまっていた。
でも、本当にレンが危ない・・・、どうしよう・・・・。
「私のせいって?レンって・・・誰?」
マリナは三毛にシワを寄せて私の肩をぎゅっとつかんだ。
何を勘付いたのか分からないけど、今度は真剣な顔をして真っ直ぐ私を見ている。でも、それを見ると余計にレンに対しての焦りが溢れ出てきた。
「アカずきんちゃん・・・何かあったの?」
「・・・・かなきゃ。」
「え?」
レンを助けないと・・・っ!!
「行かなきゃ!」
私はマリナの手を振り払って大きく走り出した。遠くから私を呼ぶ声が聞こえたけど振り返る余裕すらなかった。レンを助けたい、その気持ちでいっぱいだった・・・。
たった一回しか会っていないし、そんなに会話をしたわけでもない。なのに・・・どうして?
・・・自分でもよく分からない。ただ、今はあの人を助けたい・・・。
何か感じたの・・・、
会った時、何かをー・・・・


「アカずきん様!来てはなりません!危険です!!」
少年のオオカミ族一人のどこが危険なのよ!?
「でも・・・っ!」
「ダメです!アカ様に何かあれば王がなんと言うか・・・・。」
「・・・・・。」
この様子じゃあ何を言っても中に入れてくれることはなさそうね。・・・・・そうだっ!!
私はあることを思いつき、二人に言ってみることにした。

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