Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜
「大丈夫。奴は動けないようになっているのでしょう?遠くから見れば心配いらないし、貴方達はお父様に怒られない。・・・違う?」
「「・・・・・。」」
二人はお互いの顔を見て黙り込んだ。
一か八かのチャンス・・・お願いっ!
「どうしてそんなに入りたがるのですか?」
どうしてって・・・、レンの無事を確かめたいから。
助けたいから・・・・。
「興味があるだけよ。わざわざ国境を越えて会いに来てくれたオオカミ君に。」
自分で発した言葉が心に傷を付ける・・・。でも、こうやって嘘をつくしか中に入る方法はないと思ったから。
・・・ごめんね、レン。
私はもう一度二人にゆっくりと問いて見た。
「入れてくれませんか?」
「・・・・・。」
「・・・しょうがない。少しだけですよ?」
二人の内の一人が困ったように笑いながら中に入れてくれた。中は、本当に光一筋も入らない暗い牢で火を持ってやっと自分の足元あたりが見えるくらいだった。しばらく進んでいると、柱の真ん中あたりに周りよりも黒い人影のようなものが見えた。
まさか・・・・
「レン・・・?」
彼は顔を上げて閉じていた目をゆっくり開けた。
「ア・・・カ?」
「レン!よかったぁ。」
レンの身体には以上なほどに鎖や縄で縛られていて、少しでも動けば激痛が走るくらいの本当に動けない姿だった。
「ひどい傷・・・。ごめんなさい、私のせいで・・・っ!」
「大丈夫。こんなの鉄のメイドさんにやられるからなれたよ・・・。それより、アカはここに来ちゃダメだ。早く帰ってくれ。オレのせいでアカまで巻き込みたくないんだ・・・。」
レンは、あちこち傷で痛むはずなのに無理して笑った。
「レン・・・・。」
< 11 / 80 >

この作品をシェア

pagetop