Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜

約束 ( アカ )

「アカずきんちゃん・・・?」
レンはあの後無事に帰れただろうか?
今日、本当に会いに行っていいのかな・・・。約束だから行かないといけないって分かってるんだけど、でも・・・もしまた会ってる所を見られたら今度こそ取り返しのつかないことになってしまう。私は行きたい、でも体が・・・心のどこかで行ってはダメって叫んでる。
どちらが、正しいの・・・?
「アカずきんちゃんってば!!」
「あ・・・。な、何?」
「何?じゃないでしょ!さっきから上の空じゃん。話し聞いてないよね?」
「ごめん・・・・。」
そうだった。今、マリナと帰ってる途中だったんだ。
「・・・・ねぇ、マリナ。」
「ん?」
「もし、好きになった人が会ってはいけない人でもマリナは会う・・・?」
いつも冷静なマリナだ。言わなくても帰ってくることは想像していた。分かってる・・・・けど、聞いて見たかったの。少しでも言って欲しかった言葉をかけてもらってこの不安やモヤモヤを消してもらいたかった・・・。
「・・・行くよ。」
「え?」
「行くって。」
意外だった・・・・。
「もし会っちゃいけなかったとしても体が勝手に動くと思う。」
マリナからそんな言葉が出てくるなんて・・・。
「だいたい好きに理由なんてないと思う。人の意思なんて関係ないし、先のことより今を見て行動すればいいんじゃないの?」
「マリナ・・・。」
「私、自分に素直だから!」
マリナはにっこり笑って先に歩き始めた。
・・・私は、どんなにやりたいことがあっても掟は掟だと思ってた。レンのことも掟だからって諦めかけてた・・・でも!これでやっと分かった。
「私・・・行く。」
「は?」
私はマリナに向かって荷物を投げこみ、ブレブリーの花畑へ走り出した。
「目が覚めた!ありがとっ!!」
「え、ちょっ!?・・・どこ行くの!?」
ごめん、お父様。でもやっぱり私、レンが好きなの・・・。今まで掟だからって大好きなおもちゃもやりたかったことも諦めて来た。だけどレンだけはどうしても手放したくないの・・・。レンをあの頃みたいにまた諦めてしまったら今度こそ後悔してしまう。
そんなの、嫌だ・・・。
「レン!」
花畑に見えた大好きな人、私はその姿に向かって走り出してその勢いのままレンの胸に飛び込んだ。
「うおっ!?」
「きゃぁぁっ!!?」
勢いが出過ぎてしまって、私達はバランスを崩しブレブリーの花畑の中に倒れこんだ。
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