Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜
( アカ )
「遅いなぁ・・・。」
もう一時間以上も経つのにレンの姿すら見当たらない。
今日は、来ないのかもしれない・・・。
冷たい風が冷んやり私の身体を包みこんだ。
「寒いっ!・・・もう帰ろうかなぁ。」
諦めて帰ろうとしたその時、林の奥から誰かの足音が聞こえた。・・・いや、足音と言っても動物の歩く音のほうが近い。
犬・・・・?何だろう?
林の影から出て来たのは、青い毛のオオカミだった。
どうしてここにオオカミが居るんだろう?まだ活動する時間帯じゃあないはず・・・。
・・・・まさかっ!!
「寒かっただろ?待たせてごめんな・・・。」
「レン・・・なの?」
彼はゆっくりと頷いた。でも、オオカミだからだろうか?今日のレンは全然笑ってない。
「オレさ、悪いけど今日は早く帰りたいんだよね?」
「え・・・?」
思いも寄らぬ言葉に私は唖然としてしまった。どうしちゃったんだろう・・・。いつもと違うレンに何て言い返せばいいか分からなくって、しばらく沈黙が続いた・・・。
「お前・・・、この色見て気持ち悪く思わないのか?」
「そんなこと・・・。」
「こんな色、可笑しいよな。オオカミのくせに青なんて・・・・。」
「本当にどうしたの!?今日のレン、何か変だよ・・・。」
話をどんどん勝手に進めてしまう姿を見てる限り、本当に嫌な予感がした。
「アカがオレのことを全部知ったらお前も離れてっちゃうんだろうな・・・。」
「・・・・?」
レンは鼻で小さく笑って、冷たく吐き捨てるような口調で自分のことを話し始めた。
「オレは昔から親がいなかったんだ。本当の両親はオレがまだ幼い時、オレを置いてどっか行っちまった。まだ一歳にもなっていなかったオレは養子として今の両親、王様たちに育てられた。ちょうどその頃子供のいなかった王様たちは大層喜んだらしい・・・。けどオレが二歳になってすぐ、今の母さんに本当の子供が出来たんだ。だけど、ちょうど物覚えが出来てきたオレに対して王様は、今さら他の者に授けることなんて出来ないってオレをそのまま第一王子として育ててくれた。
凄く嬉しかったんだ・・・。養子でも、オレを本当の子のように接してくれた両親が・・・。」