Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜
レンを落ち着かせなきゃ!
私はとりあえずレンの所に走った。
「レン!!」
でもレンは振り向いてくれない・・・。私の声も聞こえないくらい混乱してるんだ。
ここに来る途中レンの身に何が起きたのか分からないし、多分、さっきのレンが言っていた事は本当なんだと思う。あの泣きながら言ってたのはレンの苦しみや悲しみが詰まった素の姿・・・。それが何らかの事情で混乱してしまい、強く言ってしまったり自分でも思ってないことを言ってしまった。・・・悪魔でも予想だけど。でも、どちらにせよ私は絶対に呆れたりレンを嫌ったりなんかしない。する訳ない。・・・だから、お願い。元の優しい貴方へ戻って・・・・?
「レンッ!!」
私はもう一度レンの名前を呼んだ。そして、そのまま彼の胸に飛び込んだ。
「ア・・・・カ?」
私に気付き、その大きな瞳から一粒・・・涙が零れ落ちなた。
レンが意識を取り戻したせいか・・・それは分からない。けど、あの悲鳴のような音はすっかり収まり、一気に静まり返った・・・。
「レン、貴方は間違ってるよ?私は絶対に嫌いになんてならないし、レンのこの毛だって汚れてなんかいない。」
「・・・・・。」
元の姿に戻ったレンを、私は後ろの髪から背中に目掛けてゆっくり撫で下ろした・・・。
「だって私が始めてレンを見たとき凄く綺麗な髪だなぁって思ったんだよ?レンの毛は汚れてなんかいない。
私がそう言うんだから本当よ?」
「アカ・・・・。」
私はレンににっこり笑顔を見せた。
「レンの毛が汚れてるって言う人が可笑しいんだよ。目がやられてるっ!目医者行けっての!!」
そう言って立ち上がり、「レンを馬鹿にするなぁ!クソったれぇぇ!!!」・・・なんて国の姫とは思えない汚い言葉を森中に叫んだ。
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