Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜
「くっ・・!あははっ!!」
えっ!?今、笑われた!?何で!?
「お前、・・・もしかしたらオレより頑固かもなっ!」
「えぇっ!?」
待って!私、今めっちゃ一生懸命だったんだけど・・・。ひどくない!?
・・・まぁ、面白そうに笑ってる限り良かったと思うけどね・・・。
「アカ、ありがとな・・・。」
顔を上げると、さっきまでとは全部嘘のように感じるくらい吹っ切れたように笑うレンの姿がそこにあった。その笑顔を自分が取り戻したと思うと嬉しくて、飛び上がりそうだった。
「うんっ!」
それだけで幸せだったけど、私は目をつぶってレンの反応を待って見ることにした。・・・すると、レンがチュッとキスをしてくれて目があった途端、お互い照れたように笑あった。
ただ、唇と唇がほんの少し重なっただけだったのに私の中は幸せでいっぱいだった・・・・。
「っ!やっぱ痛いな・・・これ。」
レンが痛そうに触っているものは、あの奇妙に光ってた銀色のリング・・・。
どうしたんだろう・・・。
「これさ、何かここに来る途中変なお婆さんに会ってつけられたんだよね。」
「無理矢理?」
「役に立つとか、素直になれる・・・とか。」
そうか。だからあんな事になったのか・・・。
でも、どうしてレンのこと知っていたのだろう?
何故レンなのだろう?
・・・レンの言ってたお婆さんは私のことも知っていた。
・・・・何故?
「ごめんな・・・?」
レンは申し訳なさそうに私の髪を優しく撫でた。
レンの大きな手は冷んやりしてて気持ちいい・・・。
謝んなくて・・・いいのに。
私はレンの中に顔を埋めた。
「兄・・・貴?」
誰かの声にレンの顔がビクッと反応する。
「レ・・・んっ!?」
私がレンの名前を呼ぼうとした時、声が出ないくらい強く抱きしめられた。
何?・・・誰と話してるの??
聞きたいけど強く押し付けられて話せない。
「何しにここに来た?」
レンは私を見られたくないのか、隠すようにして相手に問いかけた。
「その人はずきん族の姫君ですよね?」
その人の「ずきん族」という言葉に一瞬ドキッとした。
自分と同じ族だったら他人事のように話さないはず。という事は、ここにいる人は・・・オオカミ族。
どうしよう・・・・。
この後のことを考えるとどうしても体の震えが止まらない。
「オレの質問に答えろ、リンゼ。」
「僕は・・・たまには早起きして、兄貴と散歩しようと思っただけで・・・。」
「無理だと言っただろう。」
「昨日は言わなかったじゃないか!」
この二人を聞いていると、リンゼという人はレンの弟らしい。私はレンの中から体を離した。
「なっ!・・・おいっ!!」
「もうばれてるんだからいつまでもこうしてても仕方ないじゃん!それに、私だってこの体制めちゃくちゃきつかったんだからね!?」
「う・・・そだろ。」
「え?」
「は?」
レンの弟、リンゼ君は私のことを見るなり少し顔を赤くした。
「凄く可愛いじゃん!?兄貴、もったいぶんないで僕に紹介してくれれば良かったのに・・・・。」
いやいや、言わないでしょ。普通・・・。会ってますなんて言ったら、私を捕まえて下さいなんて言ってるようなもんだよ?
てか何この子、珍しい種類の天然ちゃんですか!?
「相変わらず馬鹿だな。」
「馬鹿でもいいよ。王になるのは僕だから。」
「またか・・・、勝手にしろ。」
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