Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜

絆と涙 ( アカ )

「最近アカずきん様はどうなされたのでしょうかね?」
「全然部屋の外に出て来ようとしないのです。」
「何かあったのでしょうか?」
「う〜ん・・・、王様も心配なさってますし・・・。」
部屋の外からメイド達の話し声が聞こえる・・・。
私はあれから一週間部屋にこもりっぱなしだ。普通の人なら一週間何も食べないなんてあり得ないと思うかもしれないけど不思議とお腹は空かなかった。ただ、何もせず一日ぼーっと過ごすだけ・・・。
いつも頭に浮かんでくるのは・・・レンの優しい声と、銀に薄く青のかかった瞳・・・。
馬鹿だなぁ、私・・・・。別れる苦しさなんて一瞬だけだなんて思ってたなんて・・・。いざ別れて見たら逆に思い知らされるだけだった。
どれだけレンが好きだったかのか・・・。
あの少し低くて温かい声を聞くと幸せだなって全身で感じることを・・・・。
あの大きな手で頭を撫でられるとホッとして安心することを・・・・。
・・・目を細めて、照れるように、嬉しそうに笑うあの笑顔が、改めて好きだと実感させられることをー・・・・
私は・・・、レンが隣で笑っててくれたからこそ笑顔で居ることが出来たんだ。・・・でも、もうそんな事を願っても・・・、「また元に戻れたら・・・」なんて願っても意味がないんだ。・・・ううん、そんな事願っちゃダメなんだ。
でも・・・・
「会いたい・・・。」
会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたいっ!!
「会いたい!!」

『もしかしたら・・・死刑?』


ドク・・・ンッ


私は、リンゼ君の言葉を思い出して一気に我に返った・・・。
そうだった・・・。また戻ったら結局レンを危険な目に合わせちゃうんだ。
「今日も出ましたよ!門の前のあのオオカミ。」
「・・・・・?」
部屋の外で話していたメイド達がまたバタバタと足音を立て何か騒ぎ出した。
何だろう・・・?
「毎晩毎晩良く来るわねぇ。東部屋なんか眺めて、一体何がしたいのかしら・・・。」
「本当に何もしないから門番さんは手を出すに出せないそうよ?」
いつも門の前に来るオオカミ・・・。
「東部屋・・・?ここの部屋よね?アカずきん様のお部屋では・・・・。」
レン・・・っ!?
私は確かめるようにカーテンをほんの少しだけ開き、門の方を覗いた。
「・・・・っ!!」
青く光る毛なみ・・・、間違えなくそれはレンだった。
心臓が・・・大きく波を打つ。
その瞳は真っ直ぐ私へと向けられていて・・・・
「な・・・んで、」
私にとってレンの目線はとても重くて、苦しくて、切なかったー・・・・
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