Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜

青く光るブレブリーの花畑の真ん中に一人、仰向けで倒れていた。私は走りながら何度も彼女を呼んだが、起き上がることはなかった・・・・。
「ターナ・・・？」
まさかと思って恐る恐る近づき、もう一度確かめるように彼女を呼んだ。
でも・・・・・
「ターナ？何か言っておくれ？寝てるのかい・・・？こんな所で寝ていたら風邪引いちゃうだろ。ほら・・・、起きなさい。」
いくら声をかけても何も言ってくれない。
嫌だ・・・、信じたくない・・・・っ！
「私が手を貸そう。な？捕まりなさい・・・。」
ターナを抱き上げると、彼女は恐ろしいくらい冷たくなっていた・・・・。
ヌルッと赤黒い何かが触れた場所にべったりついて私の動く手を止める・・・。
「ウソだろ・・・。」
血だ。結構時間が経っていたらしく、もう固まりかけていた。その瞬間、私はターナの死を実感したのだろう・・・。大粒の涙が雪のように白い彼女の肌に零れ落ちた・・・・。
「どうして・・・こんなっ！ゔぅっ・・・！」
愛しいターナ・・・・
私はターナを強く抱きしめて泣いた・・・。
私も、彼女も、周囲の花たちも、地面もみんな彼女の血で赤く染まっていった・・・・。
「ターナ・・・ターナ、ターナターナターナターナターナターナァァ・・・。ターナァァァァァァァァァァァァァァァァ！！！」



彼女の死から二日後・・・、
ターナの死体からオオカミの傷跡が見つかったらしい。
「その周囲からオオカミのものと思われる毛が見つかりました。」
そう言ってルイスは私に毛の入った透明の袋を渡してきた。
「！？」
銀色で、月のように美しく光る髪・・・・。
・・・ジャスだ。
ジャスがターナを殺ったんだ。

その日からジャスに対する想いなどは一切消え、憎しみと恨みへと変わっていったー・・・・