Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜
肉に飢えた・・・・狼。
「分かった?」
「・・・・うん。」
とても分かりやすかったです。
・・・でも、モヤモヤする。
「今、君の父はゴヤの山にいる。」
「えっ!?」
ゴヤの山って、行った者は誰一人帰って来ないって言うあの恐ろしい山のこと!?
「あそこは死の山じゃないですか・・・っ!?」
「あぁ、私も何故あの山に行くのかが分からない。あの山から生きて帰った者はごくわずかだし、獣も沢山いる。・・・ただ、王家の血を引く者が行って帰って来る確率は部下が行って帰って来る確率よりも高くなる。」
「本当?」
「必ず助かるわけではないがな。あくまでも2、30%ぐらいだろう・・・。たとえ王家の血を引く者でも、襲ってくる奴はたくさんいる。」
そんな危険な山に、ジャスさんはどうして行ったんだろう?生き延びるため?そうだとしたら確かにゴヤの山は誰も近づかないからいいと思うけど、自分がそこで死んじゃうかもしれないんだよ?そしたら逃げても意味ないじゃん。
「私はどうしても奴の口から真実を知りたいんだ。アカは誰の子なのか、ターナは何故死んだのか・・・。」
「お父様・・・・。」
それって、どんな手を使ってでも会いたいってことだよね。でも、会ったらお父様は絶対あの人をそろすんでしょ?
どうして・・・・
そこまでしてでもあの人に恨みを晴らさないといけないの・・・?
「私は・・・この国を守らなければいけない。だからどうしてもあの山には行けないんだよ・・・。アカ、お前なら今の私を見て分かるだろ・・・?私はもう長くは持たない。だからその前に本当のことを知りたいんだ。」
「・・・・。」
お父様はらしくもない顔で私を見た。すぐ近くに居るのに、触っただけで崩れてしまいそうなくらい弱い笑顔だった・・・・。
「レン君。」
「はい。」
「君はどう思うかね?」
レンは少し考え込み、銀色の瞳をはっきりとこっちに向けた。
「オレは父を探したいです!」
っ!?
「嫌・・・、私は嫌だよ!!そこまでして自分の命を賭けなくてもいいじゃん!?ねぇ!・・・レンってば!!」
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