Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜
「・・・・ん?」
森の奥から聞こえたかすかな獣の声・・・。オレ以外にエドさんもそれに気付いたらしく、険しい顔をした。
「どうやら長居をし過ぎたらしい、私達はさっさと用事を済まして消えるとしよう。」
エドさんはアカに近づくと、何か光る物を渡した。
まさか・・・。
気付くとあの体格のいい男二人がオレの方に近づいて来てた・・・。
こいつらには捕まってしかいないから、何もなくても歩って来るだけである意味恐怖だ。
「きゃあ!?」
「アカ・・・・!?」
振り向こうとした時、ガッチリした男一人にオレも持ち上げられた。
ほらな!?ある意味また捕まっただろ!?
「離せっ!!」
「心配しなくても壁の向こうに投げるだけだ。」
「「投げるっ!?」」
投げるって・・・、壁はどう見ても三メートルはあるんだけどっ!?
「そんなことしたら死にますっ!!」
「そうよっ!お父様の馬鹿!可愛い娘を放り投げる気っ!?」
オレらがいくら抵抗しても大男はビクともしないし、エドさんは苦笑いしてこっちを見てるだけ。
「この壁には登るものも何もないんだよ。少しの間だけ我慢してくれ。」
我慢って・・・もっとマシな方法はなかったんですかー!?
「アカを頼むよ?・・・レン君。」
その一言が最後だった。返事もする暇もなく突然アカが投げられた。
「ぎゃーーー!!?」
「え!?・・・マジで投げ」
「どりゃぁー!!」
「ゔゎぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
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