Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜
「・・・あぁ、そっちはずきん族だろ?」
「うん!・・・あ、私はアカ・ラフィス。皆はアカずきんと呼ぶわ!」
アカはにこっと無邪気に笑った。
「オレはレン・フォアーゼル。」
「そうだ!これからお母様のお墓参りに行くんだけど、一緒に来ない?」
アカは国の掟をまだ知らないのか?オオカミ族とずきん族は会ってはいけないし、互いの国境を越えてもいけない。・・・まぁ、現に越えてアカについて行ってる時点でアウトだけどね。
「もうすぐだよ。」
アカが指差す方向には確かにお墓らしきものがあった。しかし、ずきん族の王様の姿もあった。オレは進もうとしていた足を止めた。
「どうしたの?」
アカはオレの怖ばる顔に疑問を持ったのか、もう一度墓の方を見た。そしてアカ自身も動きがピタリと止まったのがオレにもわかった。
オレの存在に気付いた王は一瞬驚いた顔をした。
やばい・・・、ここで逃げるべきか?
「アカ!何をしてる!?」
「な、何って・・・この人はさっき友達になったの!!」
「友達?そいつはオオカミ族だぞ!?」
「知ってる・・・よ?」
「アカ、こっちに来なさい。」
アカは戸惑いながらも王の方へと一歩ずつ歩いて行った。その間もずっと王はオレを睨み続けている・・・。
「アカに何をした?ここはお前のようなものが来る場所ではないはずだ。」
「・・・・・。」
「・・・・行け。」
王が小さく呟くと、隣にいた大男二人がオレに目掛けて全力で走って来た。
なんだよこいつら・・・っ!
オレは必死に逃げたが、オオカミ族の国境線に踏み込もうとした時腕をがっちり掴まれてしまった。
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