Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜
心配してくれてるのか今度はさっきよりもゆっくり走った。
本当に優しくて涙が出るよ・・・・。
「早く中に入って!」
急いて洞穴に入るとレンは岩を重ねてふさいだ。
「暗い・・・。」
「小枝だったら沢山あるのに火がないからなぁ・・・。」
「あ、ライターは持ってるよ!」
そう言ってポケットからライターを取り出した。
「何であるんだよ。」
「ふふっ!無いよりはいいと思いまして!」
「準備いいなぁ。」
「むー・・・!よく言うよ、自分だってさっきから枝集めてるくせに・・・。」
呆れた顔をされて、私はムッとしながら集めてる小枝を指差した。
「あ・・・ばれた?」
「ばればれです。」
よかった・・・。少しは笑いが増えたみたい。
「やっぱ火があると便利だな。」
「うん・・・・。」
さっきから外が騒がしい・・・。
ソワソワしてると、それに気付いたレンが話しかけて来た。
「どうした?」
「・・・外、うるさくない?」
「あぁ、始まったんだよ。」
始まった・・・?
「もう外は暗くなったし、獣たちも活動し始めたんだ。」
「・・・・。」
しばらく無言のまま、私達は獣の鳴き声を聞きながら火を見つめていた・・・。
「・・・これからどうする?」
「どうする・・・って、オレの父さんを探しに行く。」

父さん・・・・

その言葉に胸が締め付けられる・・・。
もし、レンと本当の兄妹だったら?
もし、私のお父さんがお父様ではなかったら?
「・・・・。」
・・・悪く考えちゃダメ。
悪く考えると本当にそうなっちゃうってお父様が言ってた。・・・・お父様。
私の頭の中は・・・今、お父様との思い出がスライドショーのように流れていた。
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