急に女扱いされても困る
学校外での部活動でも極力制服でいることという我が校の校則に則り、女子トイレで着替えを済ませた僕を待ち構えていたのは永谷。着替えたのかさっきとは違い白いシャツと黒いハーフパンツだ。
いくら日曜だからって女子トイレ前で待機とは如何なものか。まあ別に他に人いないからいいけどさ。
「連絡先交換しましょ。」
堂々とスマホ出しやがって。バレても僕はフォローしないからね。
そう考えつつもスカートのポケットから4年愛用している赤いガラケーを取り出している自分にため息。ちなみに永谷のスマホは無難な黒である。
「ありがとうございます!毎日メール送りますね!」
「いややめてくれ。」
なんだその迷惑行為。女子か。
二人で校門前に行くと、まだ全員着替え終わっていないらしく、時雨坂も虎高も談笑している双方のコーチと部員が数名のみだった。
「渡瀬!」
僕を見るなり名前を呼んできたのは時雨坂の板垣だった。板垣遥、2年。結構フレンドリーで、1年の最初の合同練習のときから親しい。癖っ毛なのかところどころ跳ねた茶髪、赤い縁の眼鏡。身長も体格も平均的、というか普通で文化部といわれてもさして驚かないし、運動部だといわれても納得するような感じだ。
「うちの永谷がごめんな。そいつ単純アホだから憧れやらなんやらを勘違いしたみたいで…」
隣の永谷がむっとしたのを横目に見つつ、僕は苦笑する。
「あー…いや、別にいいよ。」
すると僕の返答の何が気に食わなかったのか突然腕を横に引かれ、一応女である僕よりも一回りも二回りも太い腕に捕まる。
「憧れとか、その場の勢いだけで、付き合いたいとかは思わね…思いません。俺はアホだけど、そこまでアホじゃないっす。」
初対面の時のように鋭い眼差しで板垣を睨み、続いて見上げていた僕を見つめる。
普通の女の子だったらここでときめくのかもしれない。恋とやらに落ちるのかもしれない。でも忘れないでほしい。
僕は渡瀬明だ。
「…暑いから放してくんね?」
いくら日曜だからって女子トイレ前で待機とは如何なものか。まあ別に他に人いないからいいけどさ。
「連絡先交換しましょ。」
堂々とスマホ出しやがって。バレても僕はフォローしないからね。
そう考えつつもスカートのポケットから4年愛用している赤いガラケーを取り出している自分にため息。ちなみに永谷のスマホは無難な黒である。
「ありがとうございます!毎日メール送りますね!」
「いややめてくれ。」
なんだその迷惑行為。女子か。
二人で校門前に行くと、まだ全員着替え終わっていないらしく、時雨坂も虎高も談笑している双方のコーチと部員が数名のみだった。
「渡瀬!」
僕を見るなり名前を呼んできたのは時雨坂の板垣だった。板垣遥、2年。結構フレンドリーで、1年の最初の合同練習のときから親しい。癖っ毛なのかところどころ跳ねた茶髪、赤い縁の眼鏡。身長も体格も平均的、というか普通で文化部といわれてもさして驚かないし、運動部だといわれても納得するような感じだ。
「うちの永谷がごめんな。そいつ単純アホだから憧れやらなんやらを勘違いしたみたいで…」
隣の永谷がむっとしたのを横目に見つつ、僕は苦笑する。
「あー…いや、別にいいよ。」
すると僕の返答の何が気に食わなかったのか突然腕を横に引かれ、一応女である僕よりも一回りも二回りも太い腕に捕まる。
「憧れとか、その場の勢いだけで、付き合いたいとかは思わね…思いません。俺はアホだけど、そこまでアホじゃないっす。」
初対面の時のように鋭い眼差しで板垣を睨み、続いて見上げていた僕を見つめる。
普通の女の子だったらここでときめくのかもしれない。恋とやらに落ちるのかもしれない。でも忘れないでほしい。
僕は渡瀬明だ。
「…暑いから放してくんね?」