急に女扱いされても困る
永谷side

始めて見たとき、何故か妙に惹かれるものを感じた。ただこのときはまだ、恋だとかそういうものではなかったと思う。普通のマネージャーでも、普通の助っ人でもない。そう直感した。ただそれだけ。
1年は先輩たちとは別のメニューだと言われたとき、なめられていると思った。まだ入りたての1年は大会前の先輩の邪魔にしかならないと。
ゲームをしようと言われたとき、自分はコーチたちだけでなく目の前の女であるその人にもなめられていると思った。女でも勝てるのだと、馬鹿にされた気分だった。
そしてゲームを終えたとき、自分が感じたのはこれだと思った。他の奴らとは違う、真っ直ぐな強さ。力だとか技術だとかじゃなく、その人自信の強さ。
他の学校の体育館より少し低めの天井にギリギリ届かない高さまで上がったボールを俺が見上げるような高さまで飛び、宙で掴むこともなくさして力を入れることもなく、下から押し出すようにしてボールに触れた。ボールは大きな弧を描き、吸い込まれるように真っ直ぐゴールに入る。
ただ俺の視線は、ボールではなくそれをゴールへ送り出した本人を追っていた。
綺麗だ。何故かその言葉が胸にすとんと落ちた。
変な意地のようなもので告白したものの、今思えばこのときはまだその感情を受け入れきれていなかったのだと思う。そうでなければ、またこうして惚れていない。二度も同じ人に惚れるだとかわけわからないし。
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