急に女扱いされても困る
「それじゃあアップ、2、3年は1年にルートとか教えてやれー」
うちの顧問兼コーチである滝川先生の指示で、時雨坂高含めその場が1年を集める声やら雑談やらで一気に賑わった。そんな中今日はマネージャーとして来ている僕は、先生にバレないようにこっそりとタオルやらボトルやらが置いてあるところへ向かおうと背を向ける。と同時に誰かに後ろ襟を掴まれた。待って待って絞まってる。
「お前もアップとっとけよ」
「いや、あの、首、取り敢えず離して」
ぱ、と離され一気に首もとの苦しさが消えた。死ぬかと思ったよこんちくしょう。
「…先生、僕今日はマネージャーとして来いと言われたんですけど…?」
「いやーそれがさ、さっき糸川先生たちと話してたんだけどな、向こうの1年が5人いるんだよ。んで、こっちは4人だろ?2、3年は今度の大会に向けて練習しなきゃだし、んじゃあ渡瀬入れればいいなって」
「いやよくないですよ。」
この人はいつもこれである。マネージャーとして行っても、何かしら理由付けて助っ人として僕を使う。
「…なんで毎回毎回僕を練習に参加させるんですか。」
ため息混じりにそう聞けば、彼は少しだけ申し訳なさそうに笑った。
「勿体ないだろ。男子と対等にできるだけの技術を…センスをもってるのに、俺の勘違いのせいでそれを潰しちまうなんて。」
言い返せずに僕は目をそらす。先生が僕を高く評価しているのはいつものことだから、今更照れたりはしない。授業のとき女バスの子達のチームに一人で挑んでみたら普通に勝ってしまった時点で自覚もしてる。
「…わかりました、アップ行ってきます。」
うちの顧問兼コーチである滝川先生の指示で、時雨坂高含めその場が1年を集める声やら雑談やらで一気に賑わった。そんな中今日はマネージャーとして来ている僕は、先生にバレないようにこっそりとタオルやらボトルやらが置いてあるところへ向かおうと背を向ける。と同時に誰かに後ろ襟を掴まれた。待って待って絞まってる。
「お前もアップとっとけよ」
「いや、あの、首、取り敢えず離して」
ぱ、と離され一気に首もとの苦しさが消えた。死ぬかと思ったよこんちくしょう。
「…先生、僕今日はマネージャーとして来いと言われたんですけど…?」
「いやーそれがさ、さっき糸川先生たちと話してたんだけどな、向こうの1年が5人いるんだよ。んで、こっちは4人だろ?2、3年は今度の大会に向けて練習しなきゃだし、んじゃあ渡瀬入れればいいなって」
「いやよくないですよ。」
この人はいつもこれである。マネージャーとして行っても、何かしら理由付けて助っ人として僕を使う。
「…なんで毎回毎回僕を練習に参加させるんですか。」
ため息混じりにそう聞けば、彼は少しだけ申し訳なさそうに笑った。
「勿体ないだろ。男子と対等にできるだけの技術を…センスをもってるのに、俺の勘違いのせいでそれを潰しちまうなんて。」
言い返せずに僕は目をそらす。先生が僕を高く評価しているのはいつものことだから、今更照れたりはしない。授業のとき女バスの子達のチームに一人で挑んでみたら普通に勝ってしまった時点で自覚もしてる。
「…わかりました、アップ行ってきます。」