恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~

郁磨 side 夢色

俺は、留学する事を大切な彼女に
まだ、言っていない。


だから、話したくて、
近くの緑豊かな公園に呼び出した。



「郁磨さん」



雫は、春らしいワンピースを身に纏い、
こっちに手を振りながら、走って来た。



「郁磨さん、待たせてしまいましたか?」


「ううん、全然。
いきなり、呼び出して悪かったな」


「いえ、郁磨さんの居るところなら、
どこでも駆けつけます」



こう言うところが、凄く愛らしい。



「駆けつけてくれるのは嬉しいが、
走って怪我される方が心配だ」


「だって、郁磨さんに早く会いたくて」



視線を下を向き、拗ねているのか。

でも、本当に可愛い。


自然と雫の頭を撫でていた。



「そんなに拗ねるな。
可愛くて、キスしたくなるだろ」


「なっ、にゃにを、言ってるんですか!」



顔を真っ赤に染めて、怒っていた。



「噛み方あざと過ぎだ。
なんだ、俺の事、誘ってるのか」


「そんなんじゃなくて、その……」



からかいがいのある奴だな。


好きな子ほど虐めたくなる、
つい可愛くて、辞められない。



雫を抱き締めた。



「悪かった、つい、虐めすぎた。
でも、雫が可愛いのがいけない」


「郁磨さん、二人きりの時ほど、
意地悪です」



そう言いながら、背中に手を回してきた。



「良いじゃん、雫にしか見せない顔だ。
他の奴になんか見せたくねぇし」


後ろに回った腕に力が入り、



「郁磨さんの、馬鹿」



ちょっと、やり過ぎたか。



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