恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~

夏色 郁磨side

       海 へ


俺と雫は、海をバックに写真を撮って貰っていた。


水着に着替える前に撮らせて欲しいと要望があった。



雫は、白いワンピースを身に纏い、
カンカン帽子を被っていた。


そんな姿で、俺の名前を呼びながら
元気よく手を振り、此方に向かってくる
彼女が、可愛くないわけがない!



「郁磨さん?
どうしたんですか?」


上目遣いに首をかしげている姿なんて、
可愛すぎるだろ――。



「もしかして、嫌でしたか?
雑誌の特集記事で彼氏発表とか……」








この事の発端は、海に来る
五日前に遡る。




「取材が入るんですか?」


『うん、そう言うことになって、郁磨君は
どうかなと思って、嫌かな』


「全然構いませんよ。
聖がメインなら問題無いと思います」


『そっか、良かった。 
じゃあ、日は改めて連絡するよ。
それじゃあ』



要さんの電話で取材の件を知った。




そのあと、雫に会った話したいことが
あると言われ、待ち合わせの場所へ向かった。



そこで、待っていると雫と親しそうに話す
大人の男の人が此方に近づいてきた。



「郁磨さん、待ちましたか?」


「いや、今、来たところ。
時間的にも五分前だ」


「五分前行動は基本ですよ」


「そっか、それでこの男は、何」



紺色ジャケットを着たカジュアルな格好。

しかも、雫と親しそうに話す姿を見る限り
ムカつく相手だとは分かった。



『あっ、こう言うものです』



名刺を渡された。



そこには、雫が所属している事務所名が
書かれていた。



「武藤さん――」


『はい、御木雫のマネージャーをしています』



マネージャー、だったのか。



「マネージャーさんが僕に何の御用ですか?」


『それは、場所を変えてお話ししましょう』


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