恋色キャンバス～君がおしえてくれた色～

　海　へ


「郁磨さん、写真に写ること苦手だし、
雫の為に無理してるんだったら止めても」


「馬鹿、そんなんじゃねぇよ。
俺だって考えてることを実行しただけだ」


「考えてることって何ですか？」


「お前との思い出をプロのカメラマンに撮って貰えるチャンスだからな」



雫は、カンカン帽子を両手で掴み目の辺りまで下げた。

耳まで赤くなっているから、照れているのだろう。



「留学するから雫と離ればなれになる。

いつでも見れるように、可愛くて綺麗な彼女の写真をいつも持っていたいと思って」



帽子を元に戻し、頬を染めながら――。



「郁磨さんは、やっぱり意地悪です。
どれだけ好きになれば、良いのか分からないです」


「もっと、俺のことを好きになればいいんだよ」