恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
   学校から、飛び出した。


何故か、凄くイライラしていた。

いっくんも幸来ちゃんも悪くないのに
傷つけてしまったこと。

自分が情けない。

もう、嫌になるほど自分を責めた。

いつの間にか、涙が溢れ落ちていた。






 家についた。


今日は、皆、帰りが遅いと言っていた。

アトリエに行って、絵を描くことにした
けど、何も描けなかった。

絵も描けない、大切な人達も傷つける

僕は、最低の人間だ。

もう、嫌だ、一人は嫌だ。

でも、一人でいないと大切な人を
傷つけてしまう。

愛されるとどんどん我が儘になっていく。


あの時、決めたのに。

人を好きにならないって、決めたのに。

  

   アトリエ


「聖、飯出来たぞ」


カナ兄が心配そうに声をかけてくれた。


「聖、どうした」


けど、


「いらない」


「聖!」


      自室へ


ベットにくるまった。

考えれば、考えるほど、分からなくなった

自分が情けなくて嫌になる。


  トントン


「聖、入るぞ」


ドアがあいた。


「聖、どうした、要が心配してたぞ」


何も、考えたくない。


「何か、会ったのか」


優しく聞いてくる父さんの声に落ち着きが
戻ってきた。


「聖…、大丈夫なのか。
言ってくれないと分からない」


僕は、少し顔を覗かせた。


「…聖、少し泣いたか、目が腫れてる」


「もう、自分が嫌になった」


「どうして?」


「嫌われた、絶対」


布団にくるまった。


「誰に」


「……」


「聖」



もう、誰とも話したくない。





< 19 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop