恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
  海、冷たくて気持ちいい。


「聖君、楽しいねぇ」


「そうだね」


「おい、ヒーくん」


「何?」


カナ兄の声がしたから、振り替えると


「にゃ」


顔に水鉄砲をくらった。


「おい、聖、ハハハッ、にゃってなんだ、
にゃって、ハハハッ」


いっくんが、大爆笑している。


「カナ兄何するの!」


「いやー、掃除してたら見つかったから、
使おうと」


「だからって、顔面にうつことない
でしょ」


「でも、郁磨君、ツボに入ってるけど」


「ハハハッ、フハハハッ。
あー、笑いすぎて、ハハハッ」


いつまで、笑ってんの。


「要さん、最高ですよ」


「僕は、面白くない」





遠くから、声が聞こえた。


「おーい」


「父さんだ、小百合さんに航介さんも
いる」


「はっ、何で親父と母さんがいるんだよ」


いっくんもビックリしてる。

僕も聞いてない。


「よっ、郁磨」


「何でいんだよ、聞いてねぇ」


「そりゃそうだろ、言ってないからな」


いっくんは、険しい顔をしていた。


やっぱり、親子だなぁ。


「こら、喧嘩しないの」


「小百合、喧嘩じゃないって」


「そうですよ、母さん」



この前、航介さんと会ったのは
パーティーの時だったっけ。

さすがにパーティー開場ではこんなこと
なかったけど、

いっくんと航介さんはいつもこんな感じだ。

ついでに小百合さんも。


「まぁ、二人ともそれくらいにして」


「父さんは、何で此処に?」


「良いこと聞いてくれた、要。

それはだな、二、三日休暇が取れたから、
皆と遊ぼうと思って来たんだ」


「それで、俺と小百合は、元々、休暇で
何するか、迷ってた所。

政樹に誘われて此処に来たと
言うことだ」


「来なくて良いよ」


「別に郁磨の許可、何て無意味だ。
というか俺は、
小百合の水着姿が見たかっただけで
此処に来てる。

ついでに、生意気な息子を調教しに来た」


「逆に調教してやる」


「生意気な!」




「お二人とも…」


あっ、カナ兄のマジ怒りだ。


「そろそろいい加減にしてください。

航介さんも大人げないです。

郁磨君も突っかからない」


「「 はい 」」


「それより、まず、荷物を置きましょう
こっちですよ」


「いっくん、怒られた」


背中を叩かれた。


「痛いよ、もう」




その後、着替えた、航介さんが、


「郁磨、泳ぎで勝負だ」


「十代に勝てるのかよ」


「勝てる、お前なんかに負けん」


「やってやる」


この二人は、仲が良いのか、悪いのか
分からないなぁ。


「聖君」


「幸来ちゃん」


「泳がないの?」


「あー、泳ぐよ」





      その後、海へ。


「海って綺麗だよね」


「そうだね」


「僕、海って青色だと思ってたんだよね。

けど、実際にすくってみると透明で、
何で青くないのって泣き出したこと
あってさ」


「えっ、何それ、可愛い」


「フフッ、でしょ」


その後も他愛のない会話で盛り上がった。


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