恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
「お帰りなさいませ……」
「ひー君、来たよ」
「カナ兄」
来るとは言っていたけど、本当に
来てくれた。
「聖、頑張ってるな」
「父さん」
「聖君、来たよ」
そういって、抱きついてきた。
「雫、本当に来てくれたんだね」
「聖君の執事服、似合ってるね」
「ありがとう」
「此方、席空いてるから」
そういって、案内した。
「ここまで来るの、大変だったんだよ」
「そうなの」
「うん、お父さんとカナ君。
色んな人に、話しかけられてた。
人って言うか、女の人に」
「あぁ、いつもの」
「でも、二人ともモテるのに何で、
女の影すらないのか、不思議だよね」
「そう言えばそうだね」
確かに、父さんもカナ兄も
女の人と歩いてる所見たことない……。
「そんなことより、可愛い執事さん、
注文いいかな?」
「可愛いって、一応自分的には格好いいと思ってたのに……」
「父さんは、可愛いと思うんだけど」
と言うか、話しそらしたのかな……。
女の人の話になるといつもこうなる。
まぁ、いいか。
「ご注文は」
「聖のお勧め、頂戴」
「あっ、俺も、ヒー君のお勧めがいい」
「えっ、じゃあ、雫も」
「かしこまりました」
裏へ
「あれ、いっくん、疲れた?」
「ちょっと、な」
「頑張ってたもんね」
「もうすぐ昼だし、シフト交代だから、
そこまで、やらないとな」
「その後は、シーちゃんと一緒に
回ってくれば」
「そうだな」
いっくん、嬉しそうだな。
「そう言う聖は、峰岸と二人でまわるんだろ」
「うん、今から、楽しみなんだ」