恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
「おっ、二人ともこんな大勢の前で
告白なんてやるなぁ」


親父の声にハッとなって、周りを見渡すと
かなりの人が見ていた。


「はぁ、完全に忘れてた」


「郁磨さん、恥ずかしいんですか?」


「そりゃ、それなりに」


「雫は、嬉しいですよ。
これで雫は郁磨さんのものになれました。
大好きな人と一緒にいられます」


こんなに大胆な子だったけ、これから、
雫ちゃんの知らない事を知っていくんだ。


「あっ、いっくん、いた」


「聖、どうした」


「えっ、喧嘩になってる聞いたから」


「まぁ、そうだったけど、もう解決した」


「えっ、そうなの」


今頃、来たのかよ。


「シーちゃん、大丈夫だった、少し泣いた」


「平気だよ、郁磨さんが守ってくれたから」


「そうなの」


「かっこ良かったんだよ」


思い出すたびに恥ずかしくなってきた。

 
「へぇ、そっか」


「聖、なんだよ」


「いや、何でもないよ」


「うぜぇ」



そのあと、大勢の人が見ていたからか、
雫ちゃんにしつこくしていた奴は見つかった。

親がそいつと一緒に謝ってきた。

雫ちゃんが、許したからか。

それ以上に何も無かった。

居ずらくなったのか、そいつは帰って行った。



俺らは、二人きりになった。


「あの、郁磨さん」


「何、どうしたの?」


「お願いがあって」


「お願い?」


なんだろう。


「あの、雫ちゃんじゃなくさっきみたいに
雫 と呼んでくれませんか?」


「わかったよ、雫。
じゃあ、俺からもお願いしようかな」


「郁磨さんのお願い?」



「雫、俺の可愛い彼女になってくれ。」


そう言うと、雫は、一旦下を向いた。

でも、直ぐに顔を上げて、俺に抱きついて
きた。


「はい、雫を郁磨さんの彼女にして下さい。
お願いします」


俺も抱き締め返した。


「絶対、幸せにするからね」


「はい」


最高のクリスマスプレゼントを
貰ってしまった。


こんなに可愛い過ぎる、愛しい彼女と
出会えて幸せだ。


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