不良にならなきゃ★始まらない?!
★琉聖side☆
ピンポーン
「琉ちゃん、おはよう」
「おはよう、おばさん!樹は?」
「うん、また、ゼーゼーしちゃって」
「じゃあ、俺、待ってるよ」
「ほんと?いつもありがとう」
幼なじみの樹は喘息だったが、とにかく
根性のあるヤツで、決して弱音を吐かな
かった。
「ゲホッ、ゲホ、ゲホッ、ごめんな」
「いいよ、大丈夫か?」
「うん!」
「琉ちゃん、遅くなってごめんね」
「ううん、いいよ、おばさん!」
「ゲホッ、ゲホッ」
「ゆっくりでいいからな」
「けど、琉くんまで遅刻しちゃうよ」
「気にしなくていいよ!ゆっくり歩いて
大丈夫だからな」
「うん、ありがとう!」
そんな樹が気に入っていた俺は、自分か
らヤツの世話をやき、樹は、素直に俺を
頼ってくれた。
中学にあがる頃には、喘息も治り、樹は
憧れだった陸上部に入部した。
俺は、親が離婚して、ババアの家に引き
取られ、荒れた毎日を過ごした。部活に
も入らず、キックボクシングのジムに通
い始めた。
妹や弟は俺が守んなきゃなんねえ!その
ために強くなるんだ!そう思って、毎日
練習に励んだ。
喧嘩ばかりの日々だった。周りには不良
と呼ばれ、仲間には頭と呼ばれた。自分
は誰よりも強いと信じてた。樹はいつも
俺の側で自慢話を聞いては、喜んでくれ
た。
やがて俺は、バイクに夢中になり、完全
に心奪われた。バイクに乗っている時が
最高に幸せだった。