不良にならなきゃ★始まらない?!
高校に入り、俺は仲間とチーム【LEONI
DS】を結成した。俺の愛車は、硬くて
乗りにくいと有名で、とにかく悪戦苦闘
が続いたが、やがて、完璧に俺の癖がつ
き、俺にだけは従順な、無二の相棒にな
った。
俺の影響で樹もバイクに惚れ込み、様々
な技を覚えたが、結果的には、暴走族に
収まった。樹の場合、バイクの技量は超
一流だった。
喧嘩がクソ強かった俺達は、いくつもの
チームを傘下にし、やがて、県内最強の
暴走族になった。
あれは今年の夏のこと。仲間に代わって
落とし前をつけるため、峠の道を約束の
場所へ向かっていた時の出来事だった。
夕立の影響で雷雨が激しくなる中、俺は
一人バイクを飛ばしていた。峠にさしか
かった頃には、勢いを増した雷雨のせい
で、視界は最悪だった。まるで川のよう
になった峠の一本道を登り始めると、隣
に一台のバイクが並んだ。
「…樹?!」
俺は急いで、山沿いの駐車スペースにバ
イクを停めた。
「樹、テメエ何してる!!」
「護衛するよ!」
「ふざけんじゃね!!俺一人で十分なん
だよ」
「オマエは、仲間の身が危ねえと思って
こんな雨ん中、落とし前つけに行くんだ
ろ?俺だって同じさ、琉聖の身が心配な
んだよ」