不良にならなきゃ★始まらない?!

カンカンカンカン…


いつものように一段抜きで鉄骨階段を登

る、琉聖くん。足、長っ!!ちょっと待

っててくれてもいいのにな。


ハアッ、ハアッ


チビで短足の私とは、フットワークが違

い過ぎるんだから。


屋上を吹き抜ける風が、少し汗ばんでし

まった身体を冷やしてくれる。これから

放課後の一服タイム。私は吸えないけど

ね。でもこれも、今日が最後。不良生活

は卒業するんだ!明日からはもう断るっ

て決めたんだから。


今日はいつになく、グランドが賑わって

いる。少し興奮気味に、タイムを伝える

先生の声と、生徒達の声援。駅伝選手の

選出が始まったんだ。


うちの高校は、もとは駅伝の名門校だ。

監督が退任してからすっかり弱小化して

しまったけど、伝統的に駅伝の時期は盛

り上がる。


「チチか、ほら」

『あ、堕威、ありがと!』


今日は、チョコミルクだ、美味しそう。

堕威はどうして、わさわざ棒付きキャン

ディを持ってきてくれるのかな?それよ

りどの顔でこの可愛いキャンディを買っ

てくるんだろ?


『あのさ、このキャンディ買う時、恥ず

かしくないの?』


「オマエ、失礼だな。これは、優樹菜が

買ってきたのを、持って来ただけだよ」
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