不良にならなきゃ★始まらない?!
不良をやめて、しばらく時が過ぎた。
すぐに埋まるはずだった心の穴は、なか
なか埋まらなくて、未だにポッカリと開
いたままだ。ここにピタッとハマるのは
紗夜の癒やしとはまた別の、何かなのか
もしれない。ジグソーパズルのピースが
見つからないみたいにスッキリしない。
今日も、紗夜と一緒の放課後。日直の仕
事がある私を残して、少し先に出た紗夜
が、校門の近くで待ってるはずだ。
校門の先には田園風景が広がり、道路の
グランド側は側溝、その反対側は用水路
になっている。のどかな風景だけど、少
し歩けば繁華街に出るという極端な場所
だ。
30分は待たせたかな?下駄箱に内履き
を放り込んで校門の方へと急ぐと、石の
銘板に寄りかかる、紗夜を見つけた。
『紗…あ…っ』
桜の木の木陰で、銘板に寄りかかり本を
読んでいる紗夜。ストレートの長い髪が
細い束になって、サラサラと風に揺れて
いる。ときどき強い風が吹いて、顔と本
にかかってしまう髪の毛を、指ですくい
肩の方へ流す仕草が、色っぽい。
紗夜…綺麗…
思わず見惚れて、声をかけるのを躊躇し
てしまった。
『あ…っ!』
そして、二度目の躊躇。
紗夜の前に、二人組の男が近寄って来た
からだ。