不良にならなきゃ★始まらない?!
「あれえ、一華ちゃん可愛い!!メイク
してきたの?」
『う、ううん。リップだけ』
「リップだけ?すごい変わるね」
『そ、そう?ありがとう』
教室に入ると、クラスの女子が褒めてく
れた。
ちょっと、嬉しい。
自然と、自分の隣の席に目がいく。琉聖
くんは、まだ来てないな。
始業のチャイムとほぼ同時に、琉聖くん
が教室に入ってきた。
…緊張する。
『お、おはよ。昨日はありがとう』
「いや」
「腕、痛くねえか?」
『腕?』
「オマエ、掴まれたろ?」
ああ、そういえば、チャラ男の手を振り
払った時、腕を掴まれたんだっけ?
『えっと、痛くないみたい?』
「みたい?…まあ、ならいい」
あれ?会話が終わっちゃった?
琉聖くん気づいてくれなかったのかな。
私なりにガンバってみたんだけどな。
んっ?何だろ今の発想は!!まるで琉聖
くんのためにガンバったみたいじゃん。
いやでも、琉聖くんのためにガンバった
ような気もする。ふええ、どうした私。
相変わらず、私の机の下まではみ出して
る琉聖くんの足を横目に見ながら、私は
しばらく、心の中で自問自答した。
「行くぞ」
『へっ?!は、はい』
いつの間にか、授業が終わってた。ほぼ
聞いてないに等しいよ。モヤモヤしなが
らも、琉聖くんと溜まり場へ向かった。