不良にならなきゃ★始まらない?!
「なのに、勝手に涙がこぼれてきちゃっ
て。ほんとにごめんなさい、帰ります」
「…葵、謝らなくていいよ。俺の方こそ
ぜんぜん気づかなくてごめんな」
「葵が平気なら、たまに遊ぼうか?」
「…え?!いいの?先生」
「いいよ」
嬉しかった。それが愛情ではなく優しさ
だと分かっていても、私は一緒にいれる
だけで嬉しかった。
ユウちゃんは、一緒にいる時も、絶対に
変装したり、コソコソしたりすることは
なかった。
「俺と葵は、先生と生徒以上、恋人未満
だな」
ユウちゃんのそういうとこが、大好きだ
った。
ユウちゃんと噂になって、イジワルされ
ることも度々だったけど、別に辛くはな
かった。
「可愛い子ぶって、この性悪女!」
こんなのは、序の口だった。ユウちゃん
に心配かけたくない、その一心で、私は
笑って過ごした。
そしていつの日からか、不良と呼ばれる
ようになった。