最期
「ものは考えようだと思いますよ?奥さん」


「えっ?」


「ご主人には、離婚しない代わりに、ある程度の条件をつけましょう

二度とサラ金には手を出さないこと

それと、子供が成人したら、離婚すること

どう?離婚は今じゃなくても出来るでしょ?

子供が成人するまでは、夫だと思わなきゃいいの

生活費を入れてくれる人だと思えば、腹も立たないんじゃない?

今、離婚するよりお金の心配もないし、あなたも育児に専念できるはずよ」


目から鱗だった。


発想の転換とはこのことだ。


夫だと父親だと思うからイライラするのだ。


お金を運んでくれる人だと思えば、ありがたいと思えるかもしれない。


私はその案を受け入れ、夫はその案を承諾した。


そして、離婚は不成立となった。


今となってはあの時の相談員に、感謝しなくてはならない。


子供は立派に成長したし、生活にも困ることなくここまで来ることが出来た。


そして下の息子が二十歳になった時、私は離婚をする選択を選ばなかった。
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