阿漕荘の2人
練無side
玄関を開けると
なんとびっくり
お隣の香具山 紫子も同じタイミングで
玄関を開けた
なんか、嫌な予感がするな……
「おやおや、こりゃーたまげた!
れんちゃんやないの
こない夕方から何処に行くん?
さてはアレかいな?アレ?」
まったくたまげてないしこさんである
お口だけは達者なしこさんである
「アレってなんだい?アレって?
それよりしこさん
どうしたの?」
むしろおっかなびっくりしたのは
僕の方だ
しこさんの服装がいつもと違う
いやまぁ、いつもの男装?も
世間一般とはズレてはいるが……
「なんや、わからんのかいな、
しゃーないなあ、教えたるで
8月終わりに浴衣に提灯ぶら下げて
頭に華付けてて
お出かけゆうたら
アレやろ、アレ」
「えっ?提灯?それ提灯?
巾着でしょ?えっ?
火消しにでも行くの?
あ組?い組?う組?
頭に花咲いてるよ?頭の栄養とられてるよ?」
「クエスチョンマークが多いヤツやなー
今時、5歳児やって
もう少し自分の脳みそ使うで
しんのすけ知っとるかいな?
しんのすけにキミ負けとるで?」
「ところで何処に行くの?
アレかな?戦に出陣かな?
敵は本能寺にありなり」
「…今は平成やで
戦国時代ちゃうで……
祭りに決まっとるやないかいな」
「祭り?あーしこさん
ダイエット中だからね
神輿担ぎに行くんでしょ?
アレって体力いるよね、カロリー大幅消費だよね
もしかして、比叡山延暦寺の焼き討ちかな?
豊臣秀吉?全国統一?」
「…神輿なんて何処で担ぐの」
「近所の秋祭りとかじゃないの
育成会とかで小学生がやってるじゃん
しこさんがいたら『100人乗っても大丈夫♪』」
「…うちは何かな?
イナバの物置かな?」
「それともアレかな
闘牛祭り?イッテQからの出演依頼かな
誰と行くのかな?宮迫さん?イモト?」
「闘牛って…
ハンカチ振って牛に追いかけ回されるヤツやろ…
何処に行ったら出来るのや」
「スペインかな、シアワセの黄色いハンカチ、貸してあげようか?」
「キミはよう、次から次へとまぁ
よくそんな適当なこと
言えるな⁈
箱ティッシュみたいな男やな‼︎」
「ごめん、ごめん、夏祭りに行くんでしょ?
お土産買ってきてよ。
僕の分と森川くんの分ね。
たこ焼きとお好み焼きと
売ってたらケバブもね」
「なんやさっきから!
うちはこんな、めかしこんでるゆうのになぁ!
言っちゃなんだが
お年頃なんやで」
「落としどころ?」
「あほ!落としてどうすんねん!
人をブロック肉みたいにゆうなや」
「なんて言ったの?」
「お年頃」
「ああ…」
「ああって、口開けて空気と一緒に知恵漏れしとるんやないの?
覇気ないなぁ、キミはいつも」
「履きないな?」
「覇気やハキ!お耳故障中かいな」
「はきはきしてることかな」
「ちゃうちゃう
あんたなぁ、ほんまにタランチャラやな」
「えっタランチュラ?」
「もう、ええ!」
「なんかご機嫌斜めだねぇ?
恋煩いなり?」
「あんたのせいやで!」
「えっ!僕に恋煩い!
どうしよ!告白かな」
「…………おめでたいヤツやな……
もううちは行くで
友達待たしとんねん」
しこさんは僕の脇を通り階段を降りて行く
下駄の高い音が鳴り響く
「待って、しこさん!」
二階の手すりから身を寄りだす
しこさんは既に、駐車場のコンクリの上
「可愛いよ!似合ってる!」
しこさんは目をまるっとして
ニコッと笑う
何も言わずに手を振って背を向けた
僕は彼女の後ろ姿をみて、森川くんの部屋を訪ねる
玄関を開けると
なんとびっくり
お隣の香具山 紫子も同じタイミングで
玄関を開けた
なんか、嫌な予感がするな……
「おやおや、こりゃーたまげた!
れんちゃんやないの
こない夕方から何処に行くん?
さてはアレかいな?アレ?」
まったくたまげてないしこさんである
お口だけは達者なしこさんである
「アレってなんだい?アレって?
それよりしこさん
どうしたの?」
むしろおっかなびっくりしたのは
僕の方だ
しこさんの服装がいつもと違う
いやまぁ、いつもの男装?も
世間一般とはズレてはいるが……
「なんや、わからんのかいな、
しゃーないなあ、教えたるで
8月終わりに浴衣に提灯ぶら下げて
頭に華付けてて
お出かけゆうたら
アレやろ、アレ」
「えっ?提灯?それ提灯?
巾着でしょ?えっ?
火消しにでも行くの?
あ組?い組?う組?
頭に花咲いてるよ?頭の栄養とられてるよ?」
「クエスチョンマークが多いヤツやなー
今時、5歳児やって
もう少し自分の脳みそ使うで
しんのすけ知っとるかいな?
しんのすけにキミ負けとるで?」
「ところで何処に行くの?
アレかな?戦に出陣かな?
敵は本能寺にありなり」
「…今は平成やで
戦国時代ちゃうで……
祭りに決まっとるやないかいな」
「祭り?あーしこさん
ダイエット中だからね
神輿担ぎに行くんでしょ?
アレって体力いるよね、カロリー大幅消費だよね
もしかして、比叡山延暦寺の焼き討ちかな?
豊臣秀吉?全国統一?」
「…神輿なんて何処で担ぐの」
「近所の秋祭りとかじゃないの
育成会とかで小学生がやってるじゃん
しこさんがいたら『100人乗っても大丈夫♪』」
「…うちは何かな?
イナバの物置かな?」
「それともアレかな
闘牛祭り?イッテQからの出演依頼かな
誰と行くのかな?宮迫さん?イモト?」
「闘牛って…
ハンカチ振って牛に追いかけ回されるヤツやろ…
何処に行ったら出来るのや」
「スペインかな、シアワセの黄色いハンカチ、貸してあげようか?」
「キミはよう、次から次へとまぁ
よくそんな適当なこと
言えるな⁈
箱ティッシュみたいな男やな‼︎」
「ごめん、ごめん、夏祭りに行くんでしょ?
お土産買ってきてよ。
僕の分と森川くんの分ね。
たこ焼きとお好み焼きと
売ってたらケバブもね」
「なんやさっきから!
うちはこんな、めかしこんでるゆうのになぁ!
言っちゃなんだが
お年頃なんやで」
「落としどころ?」
「あほ!落としてどうすんねん!
人をブロック肉みたいにゆうなや」
「なんて言ったの?」
「お年頃」
「ああ…」
「ああって、口開けて空気と一緒に知恵漏れしとるんやないの?
覇気ないなぁ、キミはいつも」
「履きないな?」
「覇気やハキ!お耳故障中かいな」
「はきはきしてることかな」
「ちゃうちゃう
あんたなぁ、ほんまにタランチャラやな」
「えっタランチュラ?」
「もう、ええ!」
「なんかご機嫌斜めだねぇ?
恋煩いなり?」
「あんたのせいやで!」
「えっ!僕に恋煩い!
どうしよ!告白かな」
「…………おめでたいヤツやな……
もううちは行くで
友達待たしとんねん」
しこさんは僕の脇を通り階段を降りて行く
下駄の高い音が鳴り響く
「待って、しこさん!」
二階の手すりから身を寄りだす
しこさんは既に、駐車場のコンクリの上
「可愛いよ!似合ってる!」
しこさんは目をまるっとして
ニコッと笑う
何も言わずに手を振って背を向けた
僕は彼女の後ろ姿をみて、森川くんの部屋を訪ねる