阿漕荘の2人
紫子side

紫子がドアを叩こうとした時だった

なんとも言えない高い笑いごえのような

怪しげな声が聞こえる


「いやー、そこはダメだよ」


……………。



「やだょ、
あー、もう………

何考えてんの」



いや、

間違いなくれんちゃんの声や

むしろ

れんちゃんの声しかしないで


何やってんや……



待て、うち



うちは天下のカグヤマ ムラサキコ


イニシャルはM&Aや


落ち着くんだM&A


れんちゃん、1人でなんかやってんのか?


1人………


これ、


うち、


入っていいんかな?


ヤバいことに

ならへんかな



カステラ、冷えてるんやけどな



しばらくして、またくすくすと笑うれんちゃん


「駄目ダメ、
ちゃんと考えてる?

もっと大事なところがあるでしょ?


そんなとこ、攻めないでよ」



…………?


やっぱし誰かいんのかな


いたらいたでまずいんちゃうか?



でも、最近あの子


森川くんにパンツ見せとったし


欲求不満なんやないか


よし、決めたで


ドア叩いて

名を名乗って

誰がいるのか聞いて

断られたら、部屋戻るで



ードンドン


「はぁい」


「れんちゃん、うちや」

「しこさんだー

今、いいとこなんだよ
早く上がっといで」


「……いいとこ?

……れんちゃん……

誰かおんのか?」


「森川くんだよ」



…………。



どないしよ


やっぱし森川くんとれんちゃんって…


同じ大学の医学部やし

同じアパートやし


そんな関係になるんかな……


まてや、そうや

恋愛は自由や

固定観念につきまとるようじゃ


心の狭い人間になるで

そもそも


れんちゃんは

女の子よりずっと可愛いんや


そのくせ少林寺拳法やし

うん

ギャップ萌えや


男の人はギャップに弱いんやって


なんかの本に書いてあったで


森川くんも落ちたんやろ


そうや

うち、受け取めるんや


「ねぇ?しこさん?

何してんの?入ってきなよ」


「……ダメや!!!

でも、うちは、やっぱし

まだ認めたくない!!


れんちゃん、ごめん!!



うち、もっと人間値上げてくるで!!


モンスター倒してHP上げてくるから

まっといてな!



とりま、長老に相談や!!



さいなら」




紫子は走って部屋に戻った



そして

桜花 櫻子に電話をかける



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