阿漕荘の2人

聖カトレシア学園 3

練無side

10月の第2週目の週末

「まぁ、お久しぶりね
女装少年くん、元気にしてた?」

「うんまあまあかな、桜花さん

いいかげん僕の名前を覚えて欲しいな」


神戸行きの新幹線の車内である

結局集まったのは紫子や練無たちを含めて10人

予定より少ないメンバーだ

「うーん、なんで、れんちゃんなんかー

学園に知られたら

うちの立場ないでー」

そう、練無は女の子のふりをして

学園に忍びこび

ダンス時には男装?するのだ



「大丈夫だよ

スリル満点!人生にスパイスなり」

「キミはほんまに
プレーンヨーグルトの生まれ変わりみたいな性格してんな」

「あっさり後味すっきり風味」

「ところで、少年?
貴方、紫子の所に泊まるんでしょ」

練無は急すぎてホテルが取れなかったため

急遽、香具山邸に泊まることになった

「しこの両親にはなんて言ってるの?」


「一晩泊めてください

宜しくお願いします」

練無が答えた

「そうじゃなくて、
性別よ、性別」

「櫻子はん、アホか!
んなこと、考えなくても

わかるで!


女の子ってことにしてんに
決まっとるやないかい」


そんな、男泊めたいとか
ゆうたら、
離縁させられてしまう


「まあ、そっちの方が大変ね

お気の毒様ね」

にこにこ笑う櫻子は
気の毒に思っている様子は皆目ない

「僕はすっごく楽しみだよ

しこさんの生産地」

「人を野菜みたいにゆうな」

「聖カトレシア学園って全寮制の
一般人お断りの女子校なんでしょ

どうしたら、しこさんみたいな

もう開けっぴろげで羞恥心の欠片もなくて
歩く拡声器みたいなお嬢様が育つのか
すっごく気になるんだ」

「誉めてくれて
ありがとう」

紫子が後ろから練無の髪を掴み、引っ張る


「痛いよ、いたいー」

「うちはね、キミに合わせてるのや

ホンマのことゆうと

真面目で清楚で大人しいんや」

「そしてホンマのこと言えない性格?」

練無の髪はさらに引張られる

3人はその後も楽しくおしゃべりをする

練無はオーバーオールが思っていたより

生地が厚かったために

上着のカーディガンを脱いだ


しばらくして紫子は学園内と予定の
説明をするために席を離れた



「貴方としこっていつも
ああなの?」

「ああって?」

「まるで子犬みたいにじゃらけあう」

「そうだね」

「この前のデートはどうだった?」

「65点かな」

「それ、貴方的にはどうなの?」

「不合格だね」

「損な性格してるわね」

「これでも、毎晩、
どうしてこんなに憎まれ口吐いちゃうだろって
反省しているんだよ」

「わかっていてどうして吐くの?」

「これも一種の使命感かな」

「くすくす」

「なあに、くすくすって」

「しこの中では貴方は友達?」

「悲しいくらいにね」
「貴方、今夜は大変よ」

「今日の舞踏会のこと?

それとも香具山邸?」

「……貴方は今日、しこの家には行けないわよ」

「えっ、どうして?
僕に野宿でもしろと?」

「しこが帰れない家に貴方が
お邪魔するの?」


「しこさんがお家に帰れない?

今夜の舞踏会はオールナイトなの?」

「うーん
確かにそうも言えるわね」


「桜花さんはなんでそんなこと
知ってるの?」

桜花 櫻子はペットボトルのお茶を飲む

「何故って?
それ、答えなくちゃいけないの?」

「桜花さんってどうして、
そこまで僕のこと嫌いなの?」

「貴方がしこを好きだからよ」

「えっ……」

「私からしこを取っていく人はみんな嫌いだわ」

「えっと、僕は桜花さんのこと
勘違いしてたみたい」

「勘違い?
私だっていつかしこが
誰かのモノになることぐらい
わかっているわ


でも、彼女は私にとっての太陽

貴方は月みたいなモノなのよ」

「つまり、ぼくは無くてもいい存在?
ひどいなあ」

「貴方だけじゃないわ
しこを連れさろうとする人は」

「どういう意味?」

「聖カトレシア学園よ」

「ん?カトレシア学園が?」

「貴方、彼女が黒バラ姫だと知ってる?」

「知ってるよ、仮面をみたもん」

「仮面?ふーん
仮面の意味を知ってる?」


「仮面の意味?
黒バラ姫になった暁だって言ってたよ」

「しこがそう言ってたの?」

「そうだよ」

「そう」

「違うの?」

「小鳥遊くん、貴方来るべきじゃなかったわ」

「あっ僕の名前!」

「貴方は聖カトレシアには行くべきじゃないわ
少なくとも、しこはそれを望まない」

「しこさんが?
どいして?」

「しこは貴方に本当の事を言ってないからよ」

「嘘をついてるの、しこさんは?
何のために?」

「貴方を守るためよ、聖カトレシアから」

「なんなの?
聖カトレシア学園って?」

「Garden of secret」

「なんで桜花さんはそんなに
聖カトレシア学園のこと知ってるの?」


「彼女は知らないけどね

しこが黒バラ姫に選ばれた時、私は居たのよ
あの場所に」
「しこさんが高2の時に?

そんな前から?」


「そうよ、そして、あの学園を

調べたのよ」

「どんな秘密があるの?」

「教えられないわ

だって、しこが貴方に秘密をしているこ

とですもの」


練無は考える


聖カトレシア学園とは何なのか?

しこさんは何を秘密にしているのか?


午前10時

彼らは神戸に着く
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