阿漕荘の2人

聖カトレシア学園 5

練無side

鉄の塊のような校門が開き

そして閉められた

リムジンはそのまま突き進む


「まず最初に見えます建物が事務室です

主に学園の管理人たちがいます

そして次に見えますのはー」

「えっまって!
学園の中、車で移動するの!!」

「なんや、れんちゃん、当たり前やないか、広いんやから

歩いたら1日かかるで」


「当たり前なわけないでしょ

ここは日本の学校なんだよ!」

「まぁいいやないの
快適ドライブライフやし」


「しこさーん……」


「この学園内には
あらゆる娯楽施設やショッピング街があります

お買い物の際は何なり申しつけて下さい」


「うぅ?娯楽施設?ショッピング街?」

「うぅってなんや?

知らんのか?娯楽施設を

映画館とかライブハウスとかバッティングセンターとか……」

「お嬢様でも野球するのね」

「そこじゃないよ!桜花さん!」

「病院とか温泉もあるで」
「……あのさ、
さっきから一般客が見えないだけど、
どこいっちゃったの?」

「この舞踏会は実は前夜祭なんです

だから、今夜は招待客のみ

一般のお客様がいらっしゃるのは来週以

降になっております」

「来週以降って何日まで続くの?」

「3日間の学園解放
その後に2日に渡る体育祭

そしてまた2日間、合唱祭

ラスト1日は継承式

計10日間の日程です」

「10日も!!
凄いね、時間もお金もかかりそうだね
継承式って?」

「キミは……あんまりそんなこと
外でゆうんやないで
白い目で見られるで


継承式ってのは

正式に白バラ、黒バラを次の世代に引き継ぐんや

あと清見みたいな執行部も引き継がれるんや」

「そういえば、執行部って何してんの?」

「私たち執行部は生徒会みたいなものです
ただ、生徒会と違うのは
生徒会は生徒を代表している組織であり
私たち執行部は学園の中立性を維持するための組織であるため

多少、目的が違いますね」


「学園の中立性?」

「はい、それはー」

「まぁいいやないの、清見はん

この子らは学園と全く関係のない

お客様なんやし


そんな細かいルール知ったところで

戸惑うだけやで」

「……そうですね……

さぁ、終着地です

みなさまをお迎えする迎賓館です

すでに他のお客様もいらっしゃっています」

何台もの外車が駐車場には停まっていた

すべてが高級車……

こんな車に乗ってる人って……


「黒バラ様以外皆様はここで降りて下さい」

そう清見は言って車のドアを開けた

紫子を除く9人が車の外に出る


「しこさんはいつ帰ってくるの?」

僕は車内の彼女に尋ねた

「……舞踏会には出るで……

いいかれんちゃん、ちょいと耳貸せや」

「やだよ、僕、耳なし芳一になっちゃうよ」

「だれが鬼や!
馬鹿いっとらんで早く」

僕はしこさんはに耳を傾ける

「いいか、れんちゃん、

この学園で信じられるのは清見だけや

あいつに着いてけば間違いないで」

「えっそれって
どういうこと……?」

「そのまんまや、

いいな、余計なことはするんやないで」


「ちょっと、しこさんー」


車の窓が閉まり

そのまま、彼女は行ってしまった





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