阿漕荘の2人
練無side


小鳥遊 練無と清見は迎賓館から出て

黒いBOXカーに乗った


「何処に行くの……?」


「小鳥遊さま……率直に申し上げます


貴方は女性ではありませんね」



「え!」

「そうですね」


「…………どうしてわかったの」

車体は静かに左右に揺れる


「調べればすぐにわかりますよ

この学園は秘密の花園

その舞踏会にご出席して下さるからには

いくら黒バラ様のご学友であっても

身元ははっきりしなければなりませんか

ら」


「確かに
そうだね、君の言う通りだ」

「舞踏会には政界、芸能人、


学界、芸術家まで

あらゆる日本の著名人がご臨席します


そのようなパーティーでいくら雇ったか

らといって、何処の誰だかわからない者

を中にいれ何かがあったら、責任は学園

側にあります」


「僕は追い帰されちゃうのかな……」



「いいえ、逆ですよ

私たちは貴方を信用していますから」


「ん……どうして?

僕は女だと偽ってこの学園に入ったんだよ

すっごく、怪しいんだよ」


「そこですよ、小鳥遊さま」

「ん?」

「貴方みたいな怪しい方をこの学園に

入れたのは

他ならぬ黒バラ様だ」


「しこさん……?」


「彼女はこの学園に3年間、居たのですよ

この舞踏会がどのようなものなのか

充分にご承知のはず

当然、貴方方、御一行の身辺調査も学園

がすること、いや、我々、執行部が

することを知っています


いわば、黒バラ様は貴方が男だとバレる

とわかっていて連れてきた


その理由はおわかりですか?」


「でも、勝手に付いてきたんだよ、僕が」

「でも、アクションをかけたのは

黒バラ様ではありませんか?」


アクション……


確かに、探しモノがあるっていって

部屋に呼んだのは

しこさんだったけど…………


「貴方がついて行きたいと言ったか

どうかなんて、いまや、どうでもいいの

です

問題は、バレるとわかっていて小鳥遊様

を連れてきたことです


小鳥遊様の意思があっても、普通は

そのような状況では連れていきませんよ

だって、バレたら黒バラ様どころか

小鳥遊様の身が危ないですからね」


「そんな…………


じゃ、しこさんは何で連れてきたの

僕を危険に晒したかったの?」


「小鳥遊様、

黒バラ様は普段はのっけらかんで


アホ面かましていますがー」

「清見さん、裏でそんなこと

考えてたの…………」


「黒バラ様はかなり考えていますよ

そうでなくては

黒バラ姫など出来ませんからね」


「しこさんが………うーん」


「それは、小鳥遊様が

高校時代の彼女を知らないからですよ

まぁ、話は戻しましょうか


そこまでして、黒バラ様は貴方を

この学園に連れてきたかったワケですよ」


「何故?」



「それは………あー着きましたよ

小鳥遊様、此処が私たち

執行部の部室がある


聖カトレシア学園の高等部です」
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