阿漕荘の2人
紫子side
練無、紫子、清見の3人は
理事長室のドアをノックする
「どうぞ」
紫子がドアノブを回し
扉を開ける
室内には3人
理事長は自分のイスに座り
残り2人は机の前で立っている
「やっぱり、あんたやったんか
裏切り者はー」
その者は
紫子を見て
にこりと笑う
目を細め、
そして閉じる
「なぁ、櫻子はん」
「どうしてわかったの?」
「うちのは決定打にかける、
れんちゃん、説明して」
練無が紫子の隣に出る
「桜花さんは
しこさんが高2の時に黒バラ姫になったのを
目にしたって言ってたよね」
「そうね」
「うちが黒バラ姫を引き継いだのは
学祭の最終日、継承式や
なぁなんで、あんた、見てるんや
あの式は、一般公開しないのに」
「……っ」
「あんたはあの場に居たんや
その、横のおっちゃんとな」
「………そうよ」
「あんたはうちの監視役やったんやな
そんで、今回、うちはまんまとあんたを
連れて来た……そうやな」
櫻子は無言だった
「………うちは、れんちゃんを連れて来た
それは、うちが一番信用できるのが
れんちゃんやったから
それを、清見はんにわかって欲しかった
……
清見さんはやはり、うちの狙いに気付き
れんちゃんに白バラ姫の監視と護衛を
頼んだ…」
「何故、私と黒バラ様改め紫子さん
がそこまでして白バラ姫にこだわったか
もう、ご存知ですね、理事長。
事の始まりは私、清見が紫子さんを
スカウトしに行った5年前です
彼女はまだ中学生、しかし
私には必要でした、紫子さんが」
「白バラ姫……それはな、舞踏会で客に
よって選ばれる、選ばれた白バラ姫は
1年間かけて主に理事長を中心として
ありとあらゆる英才教育を
受ける、そして次の年の舞踏会で新しい
白バラ姫が選ばれ、前年の白バラ姫は
10日間、継承式までの間に、オークショ
ンにかけられる
つまり、この学祭の本質は人身売買
そして、真ん中の7日間はオークション
のカモフラージュなんや」
「私は理事長の行う人身売買にずっと
疑問を抱いていました
だから、正式に貴方を失脚させるために
何が出来るか考えました
それが『黒バラ姫』でした
『黒バラ姫』は私が紫子さんのために作った制度
具体的には生徒の中から代表して『黒バラ姫』を選ぶ
名目上は白バラ姫の1年間、遊び相手
しかし、実際はー」
「しこを『黒バラ姫』にさせること
清見さん自身は執行部 部長だから
しこを『黒バラ姫』にするのは簡単
そして、しこを『黒バラ姫』にして
白バラ姫と仲良しになりー」
「うちは、この理事長室から
仮面を盗みだした
『仮面』それは
素顔を隠すもの、つまりー」
練無が前に出る
「この学園に例えるなら
仮面で隠されているのは
〝学園の経営権〟だよね、しこさん」
紫子が練無を見る
「うん、さすがやな」
「そして、経営権を得たしこさん
当然ながら反逆者
学園としてもタダでは済まされない存在
しかし
学園はしこさんに手が出せない
何故ならしこさんは
『黒バラ姫』だから
『黒バラ姫』は生徒内から選ばれた唯一の存在
生徒の信用と人気が一点に集中した存在
そんな『黒バラ姫』に手荒な真似をすれば
生徒の信頼を失うんだ
これが、清見さんが5年前に考えたシナリオ
そうなんだよね」
紫子が頷き、前に歩み出す
「うちは、学校を出てからずっと探し物
をしてた
理事長が危機感を感じて、隠したからや
逆に、それさえ手に入れば、理事長、あんたは
力を失う
でも、あんたが政界や文界にも力があったからな
探すのは大変やった
で、うちは、遂に見つけた
うちの探し物それは………
〝学園の所有権〟や
何処にあったと思う?
知って、うちは間抜けやと思ったよ
まさか、『白バラ姫』が隠してたとはな」
紫子が二階堂さんの手を取る
「つまり、『白バラ姫』には
学校の所有権を得ることで莫大な金が入ったのです
その代わり、人身売買の商品としてその身を捧げる
まさにギブアンドテイクの関係
私、清見や紫子さんは、今夜
オークションにかけられるであろう
現 白バラ姫の二階堂を貴方方から手から
〝学園の所有権〟を得る
これが、目的でした
ゆえに、小鳥遊様を二階堂に付けて
監視と護衛を頼みました
正直、二階堂がどちら側の人間かが
よめなかったからです」
紫子と二階堂は
理事長と櫻子を見る
「それで…………黒バラ姫がわざわざ学園に出向いた訳か
清見、お前はとても優秀だ
中学生のうちからそんな事を考えて
いたなんてな…………
親ながら驚いたよ、お前には
でも、残念だったな
お前たちは桜花 櫻子が私の手下だと
気づかなかった
結果として
今夜、『白バラ姫』を得たのは
私たち、学園側だ…………
今年も例年通りに
オークションは
行われるんだよ」
練無と紫子は唾を飲む
清見の身体は小刻みに震えていた
もうすぐ、舞踏会も終わる
次の『白バラ姫』が決まり
二階堂は商品になる
毎年、これが繰り返される
誰も止めることは出来ない
「わたしは、白バラ姫
そして、執行部…………だから、
あくまで、中立………
誰の味方でも
誰の敵でも
ない」
練無、紫子、清見の3人は
理事長室のドアをノックする
「どうぞ」
紫子がドアノブを回し
扉を開ける
室内には3人
理事長は自分のイスに座り
残り2人は机の前で立っている
「やっぱり、あんたやったんか
裏切り者はー」
その者は
紫子を見て
にこりと笑う
目を細め、
そして閉じる
「なぁ、櫻子はん」
「どうしてわかったの?」
「うちのは決定打にかける、
れんちゃん、説明して」
練無が紫子の隣に出る
「桜花さんは
しこさんが高2の時に黒バラ姫になったのを
目にしたって言ってたよね」
「そうね」
「うちが黒バラ姫を引き継いだのは
学祭の最終日、継承式や
なぁなんで、あんた、見てるんや
あの式は、一般公開しないのに」
「……っ」
「あんたはあの場に居たんや
その、横のおっちゃんとな」
「………そうよ」
「あんたはうちの監視役やったんやな
そんで、今回、うちはまんまとあんたを
連れて来た……そうやな」
櫻子は無言だった
「………うちは、れんちゃんを連れて来た
それは、うちが一番信用できるのが
れんちゃんやったから
それを、清見はんにわかって欲しかった
……
清見さんはやはり、うちの狙いに気付き
れんちゃんに白バラ姫の監視と護衛を
頼んだ…」
「何故、私と黒バラ様改め紫子さん
がそこまでして白バラ姫にこだわったか
もう、ご存知ですね、理事長。
事の始まりは私、清見が紫子さんを
スカウトしに行った5年前です
彼女はまだ中学生、しかし
私には必要でした、紫子さんが」
「白バラ姫……それはな、舞踏会で客に
よって選ばれる、選ばれた白バラ姫は
1年間かけて主に理事長を中心として
ありとあらゆる英才教育を
受ける、そして次の年の舞踏会で新しい
白バラ姫が選ばれ、前年の白バラ姫は
10日間、継承式までの間に、オークショ
ンにかけられる
つまり、この学祭の本質は人身売買
そして、真ん中の7日間はオークション
のカモフラージュなんや」
「私は理事長の行う人身売買にずっと
疑問を抱いていました
だから、正式に貴方を失脚させるために
何が出来るか考えました
それが『黒バラ姫』でした
『黒バラ姫』は私が紫子さんのために作った制度
具体的には生徒の中から代表して『黒バラ姫』を選ぶ
名目上は白バラ姫の1年間、遊び相手
しかし、実際はー」
「しこを『黒バラ姫』にさせること
清見さん自身は執行部 部長だから
しこを『黒バラ姫』にするのは簡単
そして、しこを『黒バラ姫』にして
白バラ姫と仲良しになりー」
「うちは、この理事長室から
仮面を盗みだした
『仮面』それは
素顔を隠すもの、つまりー」
練無が前に出る
「この学園に例えるなら
仮面で隠されているのは
〝学園の経営権〟だよね、しこさん」
紫子が練無を見る
「うん、さすがやな」
「そして、経営権を得たしこさん
当然ながら反逆者
学園としてもタダでは済まされない存在
しかし
学園はしこさんに手が出せない
何故ならしこさんは
『黒バラ姫』だから
『黒バラ姫』は生徒内から選ばれた唯一の存在
生徒の信用と人気が一点に集中した存在
そんな『黒バラ姫』に手荒な真似をすれば
生徒の信頼を失うんだ
これが、清見さんが5年前に考えたシナリオ
そうなんだよね」
紫子が頷き、前に歩み出す
「うちは、学校を出てからずっと探し物
をしてた
理事長が危機感を感じて、隠したからや
逆に、それさえ手に入れば、理事長、あんたは
力を失う
でも、あんたが政界や文界にも力があったからな
探すのは大変やった
で、うちは、遂に見つけた
うちの探し物それは………
〝学園の所有権〟や
何処にあったと思う?
知って、うちは間抜けやと思ったよ
まさか、『白バラ姫』が隠してたとはな」
紫子が二階堂さんの手を取る
「つまり、『白バラ姫』には
学校の所有権を得ることで莫大な金が入ったのです
その代わり、人身売買の商品としてその身を捧げる
まさにギブアンドテイクの関係
私、清見や紫子さんは、今夜
オークションにかけられるであろう
現 白バラ姫の二階堂を貴方方から手から
〝学園の所有権〟を得る
これが、目的でした
ゆえに、小鳥遊様を二階堂に付けて
監視と護衛を頼みました
正直、二階堂がどちら側の人間かが
よめなかったからです」
紫子と二階堂は
理事長と櫻子を見る
「それで…………黒バラ姫がわざわざ学園に出向いた訳か
清見、お前はとても優秀だ
中学生のうちからそんな事を考えて
いたなんてな…………
親ながら驚いたよ、お前には
でも、残念だったな
お前たちは桜花 櫻子が私の手下だと
気づかなかった
結果として
今夜、『白バラ姫』を得たのは
私たち、学園側だ…………
今年も例年通りに
オークションは
行われるんだよ」
練無と紫子は唾を飲む
清見の身体は小刻みに震えていた
もうすぐ、舞踏会も終わる
次の『白バラ姫』が決まり
二階堂は商品になる
毎年、これが繰り返される
誰も止めることは出来ない
「わたしは、白バラ姫
そして、執行部…………だから、
あくまで、中立………
誰の味方でも
誰の敵でも
ない」