阿漕荘の2人
練無side


今回のオチ


結果として、学園の経営権と所有権を得ることができた紫子たちは

その全てを清見に託した


翌日、学祭中ではあるが、

緊急理事会が開催され


天王寺 茂の失脚と

新理事長の 天王寺 清見による新体制が誕生した


白バラ姫、黒バラ姫の制度も廃止になった


また
二階堂 りんは執行部 部長に就任した


彼女たちに対して、

桜花 櫻子は天王寺 茂と共に表舞台から離れ、

後にz大を自主退学した


これは、翌日の神戸駅での話



「清見さん、忙しいのに………


見送りなんて良かったのに……」


小鳥遊 練無と櫻子を除くズカ部は


遅れている紫子を駅で待っていた


「いいえ、昨日、きちんとした

お礼もしていなかったので………

あの、櫻子さんのこと、

お仲間には、何て?」



「あー、具合が悪いから

先に帰ったって」


「そうですか………

紫子さんのお友達だったんですよね………」
「そうだね、親友だった」


「紫子さんは……その………

最初から、わかってたんです………


櫻子さんが学園のモノだと……」

「えっ!

知ってて連れて来たの?」

「そうです………彼女は………」
「…………なんで、

しこさんだったの


貴女が選んだのは」


「紫子さんが然るべき家柄のお嬢様だったこと

社会の常識の中にいたこと」


「社会の常識?

しこさんに?」

「まぁ、あの方はあの方なりに


考えていましたよ


あの学園の真の恐ろしさは、

誰も白バラ姫に、人身売買に対して、


疑問をもたないことです

普通の感性の持ち主であるならば

もっと早くに、こんな制度は崩壊して

いたでしょう


しかし、学園の生徒は

白バラ姫に選ばれることを名誉だと思っ

ている

白バラ姫は崇拝の対象でした


人身売買を告発して、学園自体を閉める


ことも出来ました


しかし、そのような、善悪の基準がズレた

ご令嬢を社会に野放しにした方が危険です


だから、私は学園内部から変える必要がありました


しかし、私は、執行部の人間、そして

理事長の娘…………


もっと自由に動けるパートナーが必要でした……」


「それが、しこさんだったんだね」


「まぁ、それもありますけど………

実は、もっと不純な動機です」


「不純な動機?」

「小鳥遊様はご存知ですか?

膝を地に付けて

相手の手をとり、

キスをする意味を」


練無は首を横に振った


「あー、紫子さんの御到着です」



紫子がキャリーケースを引きづりながら

走ってきた


「遅れてごめんなー」


「もぅ、僕、お腹ぺこぺこだよ」

「それはうちの所為やないで」


「紫子さん、いろいろと

ありがとうございたした」


「清見さん………


これからも頑張ってな………」

清見は小さく返事をして


紫子に頭を下げた



紫子たちは清見に別れを告げ


新幹線のホームに向かった



「ねぇしこさん」

「なんやで」


「どうして、櫻子さんが怪しいって思ったの?」

「………サンドイッチ リアンのエビフライサンド………」

「えっ、サンドイッチ?」

「サンドイッチ リアンのエビフライはな

神戸店限定や

宝塚本店では売ってない」

「それだけ?」


「サンドイッチ リアンの神戸店

何処にあると思う?」

「まさか!」

「エビフライサンドはな
うちが、店長に作って!って
お願いしたんや………」

2人は歩き出す

「…………寂しい?」

「あぁ、2年間付き合ったしな
飲み友達やったしな………

悲しいなぁ…………」


「……僕がいるよ」


「…………れんちゃんは

うちのこと、置いてかないでな」


「大丈夫………僕は、離さないから」



2人は新幹線に乗り込み

そして、阿漕荘に帰った
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