阿漕荘の2人
練無side
「これ…………」
A4のポスターに写っていた写真は
よく知る人物の顔だった
「進藤先生じゃん…………」
進藤先生とはt大の理学部の助教授で
n大の非常勤講師である
進藤先生の授業は
教科書もない。板書もしない。
講義中はずっと喋っている。テストもレポートもない。
数学の授業なのに数学の話をしない。
そんな変わった先生だ
「そうよ、進藤先生です
小鳥遊くんも授業受けてるでしょう?」
「あーうん、受けてるよ、これはなんなの」
「クリスマスイブの夜に
進藤先生が特別講座を開くの、n大で」
「それとバイトがなんの関係があるの?」
「パートナーを連れていかなくてはならないの」
僕は少し考えた
「宮下さんみたいに綺麗なひとなら
僕じゃなくても、いいでしょ」
これは決して、口説いているわけじゃないよ
ただ、この女と関わり合いたくないだけ
「進藤先生の講座の受講者でないといけないから」
「それなら僕じゃなくてもいい」
「小鳥遊くんが受講者の中で
1番計算が速い」
「なぜ分かるの?」
「話せば分かります」
「宮下さんより遅いよ」
「私より計算が速い人なんていません」
「僕……宮下さんのこと、嫌いだよ」
「なぜです?」
「貴方にそっくりな人を知ってるから」
「見た目?」
「貴方みたいな考え方をする人」
「なぜ嫌いなの?」
「僕の大切な人を傷つけた」
「……私を既存の概念に当てはめないで」
「つまり私だけを見てってこと?」
「きっと、進藤先生の最後の授業になります
だって、クリスマスを意識するなんて…………あの人らしくないもの
私はどうしてもこの講座を受けたい」
宮下さんが強い意識を放つ目を向けて
そう言った
正直、かなり怪しい………
宮下という女性が何者なのか分からない
身の危険すら感じる
本当のことか分からないからだ
僕、馬鹿じゃないからね………
話が上手すぎるって
でも、宮下さんの雰囲気をみるに
悪い人ではないような気がする
まあ、いいか………
法律にふれるわけじゃないし………
「いいよ」
僕の言葉を聞いた宮下さんは
意外にも、驚いているようだった
「いいの?クリスマスイブよ?」
「良くないよ
でも、宮下さんがお金を払って
クリスマスイブを買うってことは
僕にデートではないと思って欲しいわけでしょ
つまり、僕と宮下さんの関係は
あくまで取り引きの相手、金銭のやり取りで一線を引きたい
そういうわけでしょ
宮下さんはクリスマスイブに
僕とデートをしたいのでは無い
狙いは他にある」
宮下さんは感心したように僕を見る
「ああ、やっぱり、期待した通りの人だ
そうよ、私の目的は進藤先生の講座を受けること
計算が速い相手なら誰でもいいの」
「その、計算が速いってなんなの?
ポスターには講座内容は書いてないよ
それに、どうしてパートナーが必要なの?」
「計算能力が必要で、かつ、2人でしか出来ないことをするからよ」
宮下さんはニコリと微笑んで
席を立つ
「待って!何学部?医学部じゃないよね」
医学部は40人ほど
全員の顔と名前を知っている
「理学部です」
「どうして、理学部の生徒が此処にいるの」
医学部と他の学部は
キャンパス自体が異なるため、基本サークル以外では関わらない
無論、講座がかぶることも無い
「私はn大ではないわ
t大生よ。今は帰省と手伝いを兼ねて
この街にいるだけ」
「手伝い?」
「そう、助手のね。
医学部にも時々来ます
また、会いましょう
その時に詳しくバイトの話をするわ」
宮下さんは教室から出て行った
「これ…………」
A4のポスターに写っていた写真は
よく知る人物の顔だった
「進藤先生じゃん…………」
進藤先生とはt大の理学部の助教授で
n大の非常勤講師である
進藤先生の授業は
教科書もない。板書もしない。
講義中はずっと喋っている。テストもレポートもない。
数学の授業なのに数学の話をしない。
そんな変わった先生だ
「そうよ、進藤先生です
小鳥遊くんも授業受けてるでしょう?」
「あーうん、受けてるよ、これはなんなの」
「クリスマスイブの夜に
進藤先生が特別講座を開くの、n大で」
「それとバイトがなんの関係があるの?」
「パートナーを連れていかなくてはならないの」
僕は少し考えた
「宮下さんみたいに綺麗なひとなら
僕じゃなくても、いいでしょ」
これは決して、口説いているわけじゃないよ
ただ、この女と関わり合いたくないだけ
「進藤先生の講座の受講者でないといけないから」
「それなら僕じゃなくてもいい」
「小鳥遊くんが受講者の中で
1番計算が速い」
「なぜ分かるの?」
「話せば分かります」
「宮下さんより遅いよ」
「私より計算が速い人なんていません」
「僕……宮下さんのこと、嫌いだよ」
「なぜです?」
「貴方にそっくりな人を知ってるから」
「見た目?」
「貴方みたいな考え方をする人」
「なぜ嫌いなの?」
「僕の大切な人を傷つけた」
「……私を既存の概念に当てはめないで」
「つまり私だけを見てってこと?」
「きっと、進藤先生の最後の授業になります
だって、クリスマスを意識するなんて…………あの人らしくないもの
私はどうしてもこの講座を受けたい」
宮下さんが強い意識を放つ目を向けて
そう言った
正直、かなり怪しい………
宮下という女性が何者なのか分からない
身の危険すら感じる
本当のことか分からないからだ
僕、馬鹿じゃないからね………
話が上手すぎるって
でも、宮下さんの雰囲気をみるに
悪い人ではないような気がする
まあ、いいか………
法律にふれるわけじゃないし………
「いいよ」
僕の言葉を聞いた宮下さんは
意外にも、驚いているようだった
「いいの?クリスマスイブよ?」
「良くないよ
でも、宮下さんがお金を払って
クリスマスイブを買うってことは
僕にデートではないと思って欲しいわけでしょ
つまり、僕と宮下さんの関係は
あくまで取り引きの相手、金銭のやり取りで一線を引きたい
そういうわけでしょ
宮下さんはクリスマスイブに
僕とデートをしたいのでは無い
狙いは他にある」
宮下さんは感心したように僕を見る
「ああ、やっぱり、期待した通りの人だ
そうよ、私の目的は進藤先生の講座を受けること
計算が速い相手なら誰でもいいの」
「その、計算が速いってなんなの?
ポスターには講座内容は書いてないよ
それに、どうしてパートナーが必要なの?」
「計算能力が必要で、かつ、2人でしか出来ないことをするからよ」
宮下さんはニコリと微笑んで
席を立つ
「待って!何学部?医学部じゃないよね」
医学部は40人ほど
全員の顔と名前を知っている
「理学部です」
「どうして、理学部の生徒が此処にいるの」
医学部と他の学部は
キャンパス自体が異なるため、基本サークル以外では関わらない
無論、講座がかぶることも無い
「私はn大ではないわ
t大生よ。今は帰省と手伝いを兼ねて
この街にいるだけ」
「手伝い?」
「そう、助手のね。
医学部にも時々来ます
また、会いましょう
その時に詳しくバイトの話をするわ」
宮下さんは教室から出て行った