阿漕荘の2人
練無side

宮下さんとの一局を終えた小鳥遊 練無


進藤先生と少しばかりの挨拶をした


その後、大学を出て最寄り駅から地下鉄に乗る


茅駅で降り、阿漕荘まで徒歩で帰る


時刻は夜の10時過ぎ


今日は阿漕荘の住人で
クリスマスパティーをするはずだ



恋人のいない友人たちが
ケーキをつまみにシャンパンでも飲んでいるのではないか



まだお開きになっていないならば、
自分も参加しよう


そう思って帰路に立つ




何組かのカップルとすれ違った



彼らは今夜をどう過ごすのだろう




考えるだけで野暮な話だ



答えなんて明らかだ



しこさんは今頃何をしているだろう?



思えば、最近彼女と上手くいっていないような気がする



数週間前に口論になった


あれは喧嘩だったのだろうか?


しこさんは怒っていたのだろうか?




なんか、一目だけでいいから
しこさんに逢いたいな


変なの。


毎日、会ってるくせに



どんどん欲張りになるな


僕、けっこうあっさりしてるはずなんだけどな



そうそう、機敏なんだ


非粘着気質だから




くっついたら化けるタイプ?


だんだん可笑しくなってきた



早く阿漕荘に帰りたいな



だって、今日は冷えるし………











毎日、朝行く野野崎公園前を通る




若いカップルがベンチに座っている










今夜はイブだ




見ないふりをしよう




その時だった




男と目があった



それはよく知る人物だった



女は背中を向けている




話し声が聞こえる




僕は男の名を呼ぶ



「もりか……………」




男は女にキスをした
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