阿漕荘の2人
紫子side


「どう思うねん?」


紫子は森川に尋ねた


「僕が?」


「…そうや」


「うそつき」



「そんなことないで」




「小鳥遊に聞けば?」




「…………どう思うと思う?」




「僕これから友人と出かけるんだ」


森川は一階に降りる階段に向かう


紫子はコートを着て
急いで森川を追う



「なんで、ついて来るの?」


「野々崎公園で待ち合わせなんや」



「隣に住むくせに
公園で待ち合わせ?」


「やっぱし、おかしいやろ、
お笑いやな」


「小鳥遊らしいね」



「それは、そうと……」



森川と紫子は阿漕荘を出て
押しボタン式信号機の前に立つ




「森川くんは何しにいくん?」



「スワップミート」



「スウェットミート?肉はみ出てんで?」


「わざとでしょ?」



「あらまあ、ばれてしモーター」




「模型の交換会だよ」




「模型?ヘリコプターとか?」



「………まあ、乗り物とか、人形とか、蕎麦とか……」



「蕎麦?おそば?」



「小鳥遊に聞きな」



「人間ってフィギュアやろ」



「まあ、そうだね」




「きみって、自室で夜な夜な一人で
お人形遊びとかしてんの?
お風呂入れたり、お着替えしたりとか?

うわあ、エロいなあ」



「それは、偏見だよ

それに、香具山さんだってシルバニアとかリカちゃんで遊んだでしょう」




「いや、20過ぎの男がやることやないで」


「子供の時の趣味って一生の趣味になるんだよ」




「男の趣味ってやつやな」




「女の子もいるよ」




「ノスタルジィやな、うちも何かしら
始めようかな……」



「香具山さんって意外と
頭キレるよね」




「………どういう意味や、それ」




「意外と複雑だなあって
赤と青の導線どちらか切れば
爆発防げるわけではないね」




「何がいいたいねん」



「まあまあ」



「どういう集まりなん?それは?」



「地球防衛軍 n市支部だよ」



「はあ?地球防衛軍?」



「そう」



「なんやの、宗教団体?学生運動?」




「地球防衛軍ってのは俗称でね
実態は公には公表してないんだ
主にモビルスーツとかのフルスクラッチのような活動をしてるよ」



「森川くんも?」



「僕、実は、地球防衛軍の関西支部の副司令なんだよ

関西支部の副司令といえば、地方の司令相当だよ」



「……それ全国にあんのかい」


「そりゃあ、全国になくちゃね。
本当はさあ、日本だけじや、ダメなんだよ
地球を守ろうと思ったら
世界中に支部を置かなくちゃ」



「…どうやって入るん?」



「年会費1500円で誰でも入れるよ、地球人なら」

「…1500円で地球が守れんのかい
お手頃価格やな」


「興味ある?z大生もいるよ」




「……うちは地方密着型やねん、地産地消やで」



「………なんか、違くない?」




「そうかいな」




「どころで、ボタン押した?」




「あっ?!忘れとった」



「どうりで、いつまで経っても赤信号なんだね」
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