猫とカフェ
家の台所に着くと
「ご飯は?」
と念の為フェスタに聞いておいた。
「大丈夫や。もう寝る…」
今日はどこで何をしていたのか全く分からないが、相当疲れている様なのでそっとしておく事にした。
私もシャワーを済ませ、寝る準備を始めると何かを考える間もなくすぐにまた寝てしまっていた。
このような毎日がもう一カ月続いていた。
この頃になると、私が試作品を作ってみたり、チャ―ちゃんの庭のお世話を手伝ったり、時には仕事の手伝いの資料を作ったりこちらでの生活にまで少し慣れ始めていた。でも…私には分かっている…この楽しい生活の始まりはあくまでも修行できているので、そのうち終わりがあることを…。
そして、チャ―ちゃんとはこの修行を終えたら合う事ができなくなるんだと…。
フェスタも慣れてきたのか帰ってもすぐに眠らずに雑談をする余裕も出ているようだ。私は口寂しくなるかも…と予想をしデザートを準備しておくようになっている。
「今日は何があるん?」
フェスタも用意しているのを知っているので雑談をする日はメニューを聞いてくる。猫の趣味はあっさり味ではないので、プリンでも必ず生クリームを添えないと不平がでるのだ。
「プリンでいい?」
フェスタはテーブルの上で既に待っていた。
今日の雑談はお店を出す場所についてだったが、フェスタはもう目星をつけていて、私の母の田舎の使われていない家にしようと乗り気だった。
確かに田舎で周りは田んぼが多く、民家も離れて立っていて色々都合が良さそうだとはだとは思う。隣の家までも500メートルくらいは離れているし、ハーブなどを植えるスペースも十分にある。
ただ…そこで売上か取れるかと言うと…かなり不安だ。
周りにはご年配の方しか住んでないし、若い人達はみんな都会に出たりでいないし。フェスタにもその事は言ってるのに、なかなか理解してもらえないのだ。
「事前にネットとか使うて宣伝したらええやん」
の一点張りだ。
雑談が済むとフェスタは寝る場所へと消えて行った。
自分の部屋に着くと、私はクローゼットから小さな箱を取りだした。
中にはブレスレットが入っている。
私が気に入って買ったもので華奢なピンクゴールドのチェーンにチャームが二つ付いている。1つは小さなエメラルドでもう一つは小さなルビーだ。
そのチャームのエメラルドは大きさは小さいが、とても綺麗で濃い緑色が猫の目みたいに透き通っているのを見たときにひと目ぼれをしたものだ。
その可愛いチャームを1つずつチェーンから外していく。
チャームを用意していた金具につけると小さくて可愛いブローチになった。
これをチャ―ちゃんにお礼の品として渡そうと何日か前から考えていたのだ。
そんなに高価な物は買えないけどせめてものお礼がしたくて、お気に入りのブレスレットのチャームを思い出したのだ。
もう一つのルビーも同じように金具につけブローチの完成!
1つずつ丁寧にラッピングし、机の引き出しにしまっておいた。
それから、いつものようにすぐに寝てしまったがチャ―ちゃん…喜んでくれるといいな。。。いや裕福だからこんなの恥ずかしいと言われるかもしれないと夢の中で色々と葛藤している内に朝になっていたようだ。
いつもと同じ可愛くない鳴き声の目覚ましとともに起こされた。
「今日は…ちょっと妹そろそろ呼ぼか」
いよいよ妹に説明する日が来るんだな…と少し緊張感が走る。
「妹あそこのシュークリーム好きやろ?準備しといたら」
妹も好きだけど、フェスタが食べたいんでしょ!と言いたいのを我慢し
「そうだね…甘い物食べながらの方がリラックスできるよね」
朝食が終わると、近所のケーキ屋さんに行きシュークリームを3つ購入しておいた。その後妹に連絡をしたら、今日来てくれるとの事だったので、フェスタを待つ事にした。
妹が到着し、まずは雰囲気作りの為にシュークリームと飲み物を出してリラックスしてもらうことにした。
「……なんか気持ち悪いな。そんなに話しにくいことなん?」
「あのね…」
まずは自分が精神疾患になってしまった事、失業した事等から話し始めた。
「それどれぐらいで治るの?仕事はどうするん」
当然の質問だと思う。
「いつ治るかは分からないけど、次の仕事は一応考えてるよ。そこでその仕事に協力してもらいたいんだけど…」
「何?私が出来る事なんて限られてるけどいいの?」
「もちろん!作業系をお願いしたいんだよね。あと料理も上手いからそこも手伝ってもらえたら助かる。」
「ふーん…」
妹はそこでようやくシュークリームに手をつけ始めた。
とりあえず、第一段階は成功しているようだ。
「で、どこで働くん私達は?」
「私…自分でお店出そうと思ってるんだよね…」
「はあ!?何ができるん?お金どうするん?」
これも当然の質問だと思う。
私もまずそこを聞くと思うからだ。
特に取り柄もない、お金もない40前のおばさんがいきなり何を言い出すんだ!という話だ。
妹は私とは違って出来ないと思う事にチャレンジするのではなく、確実な方法を取ってきた人なのでそんな話にすぐには乗ってこない。
ここからが、腕の見せ所となるけど。。。
細かい話から入るよりまずここからバラしてしまった方が手っ取り早いきがした。
「あのね…フェスタしゃべれるんよ」
「え?意味が分からん。質問の答えになってないよ」
私は椅子から立ちあがり冷蔵庫に向かう。もう一つのシュークリームを取りだした。お皿に入れてテーブルの上に置いておく。
「いやいや、答えを言ってないのに又シュークリーム食べるの?」
妹が少し苛立った様子でこちらを見ている。
「だから…コレ答えになってない?」
フェスタがテーブルに登り、シュークリームを舐めようとすると妹が皿を取り上げた。
「ちょっと…フェスタにこれは多いでしょ?クリームだけあげたらいいじゃん」
「まあいいから皿は置いて」
妹は渋々皿を置いた。
「食べれるよね~フェスく~ん」
母の真似をしてフェスタに言った。
「まあ…こんなもんは朝飯前や」
「……」
妹が目を見開いて無言になる。
気持ちはとても分かる!私も少し前まではフェスタが話せるなんて夢にも思ってなかったから。。。
「え…信じられない…」
シュークリームを勢いよく食べているフェスタを見つめながら妹がつぶやいた。
「ねっ!ホントでしょ。私は嘘は言ってないよ」
その光景を見た妹に店の事を手伝ってもらう同意を得るのは簡単だった。
妹も余計な事は言わないタイプなので、質問攻めにしてくる事もなく、騒ぎ立てる事もなく、話をスムーズに進める事が出来た。
「まあ、姉と二人で出来るなら気兼ねはしなくていいし…」
と了承を貰えた。
話がまとまった所で妹には更に驚いてもらう事になるのだが、そのまま私達とチャ―ちゃんの所まで行ってもらう事になる。
妹も私と同様にびくびくしながら暗い道を目をつぶって渡っていた。
「はあ…信じられない」
何度も同じことを時折繰り返し言っているが、慣れてもらうしかないごめんね。と心の中で思っていたが、あえて何も言わなかった。
「ご飯は?」
と念の為フェスタに聞いておいた。
「大丈夫や。もう寝る…」
今日はどこで何をしていたのか全く分からないが、相当疲れている様なのでそっとしておく事にした。
私もシャワーを済ませ、寝る準備を始めると何かを考える間もなくすぐにまた寝てしまっていた。
このような毎日がもう一カ月続いていた。
この頃になると、私が試作品を作ってみたり、チャ―ちゃんの庭のお世話を手伝ったり、時には仕事の手伝いの資料を作ったりこちらでの生活にまで少し慣れ始めていた。でも…私には分かっている…この楽しい生活の始まりはあくまでも修行できているので、そのうち終わりがあることを…。
そして、チャ―ちゃんとはこの修行を終えたら合う事ができなくなるんだと…。
フェスタも慣れてきたのか帰ってもすぐに眠らずに雑談をする余裕も出ているようだ。私は口寂しくなるかも…と予想をしデザートを準備しておくようになっている。
「今日は何があるん?」
フェスタも用意しているのを知っているので雑談をする日はメニューを聞いてくる。猫の趣味はあっさり味ではないので、プリンでも必ず生クリームを添えないと不平がでるのだ。
「プリンでいい?」
フェスタはテーブルの上で既に待っていた。
今日の雑談はお店を出す場所についてだったが、フェスタはもう目星をつけていて、私の母の田舎の使われていない家にしようと乗り気だった。
確かに田舎で周りは田んぼが多く、民家も離れて立っていて色々都合が良さそうだとはだとは思う。隣の家までも500メートルくらいは離れているし、ハーブなどを植えるスペースも十分にある。
ただ…そこで売上か取れるかと言うと…かなり不安だ。
周りにはご年配の方しか住んでないし、若い人達はみんな都会に出たりでいないし。フェスタにもその事は言ってるのに、なかなか理解してもらえないのだ。
「事前にネットとか使うて宣伝したらええやん」
の一点張りだ。
雑談が済むとフェスタは寝る場所へと消えて行った。
自分の部屋に着くと、私はクローゼットから小さな箱を取りだした。
中にはブレスレットが入っている。
私が気に入って買ったもので華奢なピンクゴールドのチェーンにチャームが二つ付いている。1つは小さなエメラルドでもう一つは小さなルビーだ。
そのチャームのエメラルドは大きさは小さいが、とても綺麗で濃い緑色が猫の目みたいに透き通っているのを見たときにひと目ぼれをしたものだ。
その可愛いチャームを1つずつチェーンから外していく。
チャームを用意していた金具につけると小さくて可愛いブローチになった。
これをチャ―ちゃんにお礼の品として渡そうと何日か前から考えていたのだ。
そんなに高価な物は買えないけどせめてものお礼がしたくて、お気に入りのブレスレットのチャームを思い出したのだ。
もう一つのルビーも同じように金具につけブローチの完成!
1つずつ丁寧にラッピングし、机の引き出しにしまっておいた。
それから、いつものようにすぐに寝てしまったがチャ―ちゃん…喜んでくれるといいな。。。いや裕福だからこんなの恥ずかしいと言われるかもしれないと夢の中で色々と葛藤している内に朝になっていたようだ。
いつもと同じ可愛くない鳴き声の目覚ましとともに起こされた。
「今日は…ちょっと妹そろそろ呼ぼか」
いよいよ妹に説明する日が来るんだな…と少し緊張感が走る。
「妹あそこのシュークリーム好きやろ?準備しといたら」
妹も好きだけど、フェスタが食べたいんでしょ!と言いたいのを我慢し
「そうだね…甘い物食べながらの方がリラックスできるよね」
朝食が終わると、近所のケーキ屋さんに行きシュークリームを3つ購入しておいた。その後妹に連絡をしたら、今日来てくれるとの事だったので、フェスタを待つ事にした。
妹が到着し、まずは雰囲気作りの為にシュークリームと飲み物を出してリラックスしてもらうことにした。
「……なんか気持ち悪いな。そんなに話しにくいことなん?」
「あのね…」
まずは自分が精神疾患になってしまった事、失業した事等から話し始めた。
「それどれぐらいで治るの?仕事はどうするん」
当然の質問だと思う。
「いつ治るかは分からないけど、次の仕事は一応考えてるよ。そこでその仕事に協力してもらいたいんだけど…」
「何?私が出来る事なんて限られてるけどいいの?」
「もちろん!作業系をお願いしたいんだよね。あと料理も上手いからそこも手伝ってもらえたら助かる。」
「ふーん…」
妹はそこでようやくシュークリームに手をつけ始めた。
とりあえず、第一段階は成功しているようだ。
「で、どこで働くん私達は?」
「私…自分でお店出そうと思ってるんだよね…」
「はあ!?何ができるん?お金どうするん?」
これも当然の質問だと思う。
私もまずそこを聞くと思うからだ。
特に取り柄もない、お金もない40前のおばさんがいきなり何を言い出すんだ!という話だ。
妹は私とは違って出来ないと思う事にチャレンジするのではなく、確実な方法を取ってきた人なのでそんな話にすぐには乗ってこない。
ここからが、腕の見せ所となるけど。。。
細かい話から入るよりまずここからバラしてしまった方が手っ取り早いきがした。
「あのね…フェスタしゃべれるんよ」
「え?意味が分からん。質問の答えになってないよ」
私は椅子から立ちあがり冷蔵庫に向かう。もう一つのシュークリームを取りだした。お皿に入れてテーブルの上に置いておく。
「いやいや、答えを言ってないのに又シュークリーム食べるの?」
妹が少し苛立った様子でこちらを見ている。
「だから…コレ答えになってない?」
フェスタがテーブルに登り、シュークリームを舐めようとすると妹が皿を取り上げた。
「ちょっと…フェスタにこれは多いでしょ?クリームだけあげたらいいじゃん」
「まあいいから皿は置いて」
妹は渋々皿を置いた。
「食べれるよね~フェスく~ん」
母の真似をしてフェスタに言った。
「まあ…こんなもんは朝飯前や」
「……」
妹が目を見開いて無言になる。
気持ちはとても分かる!私も少し前まではフェスタが話せるなんて夢にも思ってなかったから。。。
「え…信じられない…」
シュークリームを勢いよく食べているフェスタを見つめながら妹がつぶやいた。
「ねっ!ホントでしょ。私は嘘は言ってないよ」
その光景を見た妹に店の事を手伝ってもらう同意を得るのは簡単だった。
妹も余計な事は言わないタイプなので、質問攻めにしてくる事もなく、騒ぎ立てる事もなく、話をスムーズに進める事が出来た。
「まあ、姉と二人で出来るなら気兼ねはしなくていいし…」
と了承を貰えた。
話がまとまった所で妹には更に驚いてもらう事になるのだが、そのまま私達とチャ―ちゃんの所まで行ってもらう事になる。
妹も私と同様にびくびくしながら暗い道を目をつぶって渡っていた。
「はあ…信じられない」
何度も同じことを時折繰り返し言っているが、慣れてもらうしかないごめんね。と心の中で思っていたが、あえて何も言わなかった。